『ドラゴンクエスト』が鼻たれ小僧に「ファンタジー世界」を届けてくれたの画像
画像はファミコン『ドラゴンクエスト』(編集部撮影)
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 1986年5月27日は、日本のゲーム史においてひとつのターニングポイントになった日でしょう。そう、『ドラゴンクエスト』の発売された日です。

 今さら“ドラクエ”について何を語ることがありましょう。RPGの金字塔であり、30年以上が経過した現在も最新作が生まれ続けている。名作というよりはもはや日本人のDNAそのもののような存在である本作は、その優れたゲームシステム・シナリオから開発秘話まで、多くの文献で語り尽くされてきました。

 と、いうわけで、ここではリリース時のオタク事情と申しましょうか、発売当時は高校生であった筆者が実際に感じた“空気感”みたいなものをお伝えできればと思います。上記のとおり時は1986年、いわゆるバブル、いわゆる昭和! 秋元康氏が乃木坂46でもなければAKB48でもなく、おニャン子クラブの楽曲の作詞・プロデュースをされていた時代です。

 1985年春からは『機動戦士ガンダム』の続編である『機動戦士Zガンダム』が放送。現在では退役してしまったスペースシャトルも現役バリバリ、1986年1月にはチャレンジャー号の爆発事故というショッキングな出来事もありました。

 ……で、何が言いたいか? 当時は「科学の時代」だったんですよ。「は? 今のほうがよっぽど科学の時代だろ!」と思った若い方もいらっしゃると思いますし、そのとおりなのですが、今や漫画やアニメで当たり前に扱われている“ファンタジー”というジャンルが、まだまだマニアックな存在だったのではないかと思います。

 子どもたちの世界では、ロボットや宇宙などの“サイエンス・フィクション”が幅を利かせており、ファンタジーものは“剣と魔法の世界”などと呼ばれて、まさにこれからメジャーなものとして子どもの世界に降りてくる、ちょうど過渡期だったのではないでしょうか。

ファミコン『ドラゴンクエスト』タイトル画面
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