■ゲームをプレイしている僕らは何者でもない。だから良い。
本作は西部劇とSFが融合している、荒廃した近未来が舞台です。世界にはいくつかの街や拠点があり、暮らしをそれなりに取り戻しつつありますが、街の外には機械と怪物が融合したような見た目のモンスターや、でかいアリのようなシンプルな怪生物がうじゃうじゃいる、というような有様です。
そんな世界で修理工場一家の一人息子である主人公は、モンスターハンターになりたい(1991年のゲームなので『モンハン』はまだ当然登場していません)と父親に告げたところ、「まだそんなバカなゆめをすてられないのか!」「ぢみちにいきていくのがいちばんだとあれほどいったのに」と失望され、勘当されてしまいます。
王様に直々に魔王を倒すように依頼されるドラクエをはじめとする作品の主人公たちとは違い、なんの変哲もない家庭に暮らす少年が勘当されたところから物語が始まるというのは当時のRPGとしては(今も?)斬新でした。
目的がない、というフリーシナリオ的な始まり方もドラクエとは違いますね。
この時点で目標を設定されてないとなれば、街を歩き回って情報を集めるしかありませんね。ということで街の人に話を聞いて回るとどうやら街の南の洞窟に「戦車」があるようだ、ということが分かるので「戦車」を取りに行くことになります。この戦車がこのゲーム最大の特徴です。
RPGといえばキャラクターをレベルアップや装備で強化しながら戦闘していくのが通常ですが、本作はキャラクターが戦う際、戦車に乗り込んで主砲や副砲をぶっ放して戦うことができます。もちろん生身の人間として装備・レベルを強化して戦うことも可能ですが、戦車での戦闘のほうが圧倒的に強く設定されています。当然ですね。
この戦車はカスタマイズもできますし、ゲーム中に新たな車に乗り換えたりできます。さらにこのカスタマイズは奥が深く、強いパーツを付けまくればいいというわけではなく、貧弱なエンジンでは積載量をすぐにオーバーしてしまい、その場から動けなくなってしまいます。その場合は「SP」という車の装甲を犠牲にして軽くしなければいけません。ここがミソ。自分なりのカスタマイズでさまざまな車を乗り回して遊べる自由度があるんですね。