■RPGが描いた「真の死」
RPGでキャラクターが戦闘で亡くなった場合、蘇生呪文やアイテムで復活させることができます。教会などで復活させてくれる場合もありますね。ただイベントで亡くなった場合、そういった間を与えることなく死んでしまい復活させることはかないません。
ただ、FF5のガラフは少しだけ趣が違います。クルルが「おじいちゃーん!死んじゃいやだー!!」と叫んだあと。まずは主人公が、「ガラフ死ぬな『ケアルガ』!」と回復魔法を唱えます。しかし、ガラフは目覚めません。
続けざまに今度はレナが、「お願い『レイズ』!!」と蘇生呪文を唱えます。
しかし、やはりガラフは目覚めません。
最後にガラフ同様、序盤からパーティにいるファリスが、「目をさませ!『フェニックスのお』『エリクサー』!!」と蘇生アイテム、回復アイテムを使います。
それでもやはり目覚めず、ガラフは消滅したあと画面上に、
「ガラフの命はつきた…」
と表示されます。
ガラフはエクスデスとの戦闘ですべてを使い果たしました。
これまでのRPGで言えば「戦闘で敗れた」場合の死は「蘇生」することができました。もちろんこの「ガラフVSエクスデス」をイベントだととらえれば例外なのかもしれませんが、イベントで亡くなったキャラに主人公たちが魔法やアイテムで蘇生を試みたことはあったでしょうか。
そして最後のとどめで「命は尽きた」と明示されることはあったでしょうか。
ここでプレイヤーには、ずっとともに戦ってくれると思っていたガラフが「戦闘不能」ではなく「間違いなく死んだのだ」と突きつけられるのです。
私は初めてこのイベントを見たとき、理解するのにかなりの時間を要しましたが、とにかく泣いてしまいました。
自分のおじいちゃんと重ね合わせて、クルルに感情移入していたからかもしれませんが、とても悲しかったし、なによりパーティメンバーたちが必至でガラフを蘇生させようとしている様がとても胸に響きました。(ちなみに彼らが蘇生するために消費したアイテムもMPも実際には減っていないのでご安心ください)
1992年に発売された本作が描いたこの「RPGの死」は、プレイヤーたちに大きな衝撃と感動を与え、今も多くの人に語り継がれる名シーンとなったのです。