「伝えたいメッセージは『1人じゃないよ』」

――「終わっても続いているのがマンガ」という言葉は印象的です。先生が『ファイブ』シリーズで読者に伝えたいこととはなんでしょうか?

「どんなにカッコいいと思われている人にだってコンプレックスはあるよ」というのが『ファイブ』を始めたスタートで、その後キャラクター1人1人が様々なコンプレックスを抱えながら、色々な出会いによって成長していく、という作品を描いてきました。
 読者の皆さんもそれぞれにコンプレックスを抱えながら生きてらっしゃると思うので、「伝えたい」というよりは、共感できるキャラクターを「拾っていただきたい」という思いがあります。
 例えば連載を開始した当時は、まだ「オシャレのためにあえてメガネをかける」という、いわゆる「おしゃれメガネ」が流行る前で、メガネをかけた主人公というのがいなかったんですね。
 だから定番のストーリーとしては、「コンプレックスだったメガネを外したら『かわいいじゃん』って言ってもらえて恋に落ちる」というパターンだったと思うんです。
 だから一番最初に担当さんとぶつかったのは、「メガネはコンプレックスじゃないんですか?」と言われたときに、「メガネは可愛いポイントなのに、なんでコンプレックスなんですか?」って返したことだったんですよね。
 「主人公がメガネをしている理由が欲しい」と言われたんですが、「パーマがかかっていたり、トーンで髪色を明るくしていたりすることに理由はないのにどうしてですか?」ってことですごく話し合ったんです。じつはその担当さんメガネをしていたんですけど(笑)。
 最終的に担当さんが折れてくれた時に、「メガネをしていてもいいけど、メガネをきっかけで話を展開させてほしい」と言われたので、じゃあ思い切ってメガネを割ってやろうと思って描いたのが第1話なんです。
 結果的に、当時メガネをかけている子たちからの手紙の数がものすごくて、「親に相談をしてコンタクトにしたいと言っても反対されて、メガネがイヤだったんだけど、好きになりました」とか、「眼が悪くて良かったです」とか言ってもらえて、私はただメガネが可愛いと思って描いていただけなんですが、作品からそういうメッセージを「拾って」いただいたのは本当に幸せなことだと思います。
 そういった手紙をくれたのが、思春期の小学生や中学生の方だったので、「メガネやめなくていいよ」ってお返事を書いたりもしました。
「良いところも悪いところも全部認めてくれる友達が周りにいるよ」っていうのが『ファイブ』だと思って描いているので、伝えたいメッセージは「1人じゃないよ」っていうところですかね。大きく言うと。

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