「『ろくでなしブルース』にはかなり憧れていましたね」
――初めは逆の設定だったとは驚きました。ちなみに、ジャンプ読者だったというお話がありましたが、どんな作品がお好きだったんですか?
いわゆるジャンプの黄金期をリアルタイムで読んでいて、面白くないマンガがなかったんですよ。『ドラゴンボール』も連載していたし、『スラムダンク』に、『幽遊白書』も読んでいました。
なかでも『ろくでなしブルース』にはかなり憧れていましたね。「週刊連載でこの描き込み、このトーン【※模様柄など用途ごとに様々なパターンが印刷された粘着フィルムで、切り抜いて画に貼りつけて使う】の量はすごい」と思って。
そのあと森田先生とお話させていただく機会があったんですが、活躍されている作家さんは皆さん謙虚で、マンガを描くことが大好きで、それが画面に出てるんだなあ、と思いました。
――では、ふたたび『ファイブ』の話に戻らせて頂きますが、先生の中で個人的に好きなキャラクターはいますか?
『ファイブ』にしても、他の作品にしても、キャラクターは自分の子供だと思っているので、差をつけられないんですよね。みんな良いところもあればダメなところもあるので。
だから読者の皆さんが、「ダメなところがカワイイ」とか、「良いところだけをずっと見ています」などと言ってくださるのは、本当にありがたいことだなと思っています。
――描きやすいのはどのキャラクターですか?
作画的に描きやすいキャラクターと、ネーム的に動かしやすいキャラクターというのがいるんです。
ネーム的に勝手に動いて間違いないのは拓依(たくい)ですね。拓依は本当に万能な子で、誰かがヘコんでいたらそれにすぐ気が付くし、ゴメンとすぐに謝れるんです。
ただ拓依を描くときにはトーンの貼り方にも基準があって、それがズレると拓依じゃなくなっちゃうんですよ。だから作画的には描きにくいんですよね。
作画的に描きやすいのは泰楽(たいらく)ですかね。「怒り」や「喜び」を、一番動きがない状態でもできるキャラクターなんですよね。