■分身が分身を生むねずみ算式増殖の恐怖!『僕のヒーローアカデミア』トゥワイス
堀越耕平さんの漫画『僕のヒーローアカデミア』に登場する敵<ヴィラン>連合のメンバー、トゥワイス。彼の個性「二倍」は、対象を複製するという、単純でありながら極めて凶悪な能力である。
その真の恐ろしさが遺憾なく発揮されたのが、コミックス第24巻収録の第230話「サッドマンズパレード」だ。仲間を救うため、かつて自らの分身によって精神を追い詰められたトラウマを克服したトゥワイスは、自分の分身を際限なく生み出す大技「哀れな行進(サッドマンズパレード)」を繰り出す。
1人が2人、2人が4人になり、その分身体がさらに新たな分身を生み出していく。トゥワイス自身も「(ヴィラン)連合どころか県になっちまうぜ、総人口!」と口にするほど分身体は増殖、ねずみ算式に増えていく。戦場は瞬く間にトゥワイスの分身によって埋め尽くされ、敵勢力である異能解放軍との戦況を一気に覆した。
この際限なき増殖を見ていると、藤子・F・不二雄さんの漫画『ドラえもん』に登場したひみつ道具「バイバイン」によって、宇宙の彼方で今も増え続けている栗まんじゅうを思い出す。
もしもトゥワイスの分身による増殖が止まらなかったら……。そう考えると、この能力の持つ底知れない恐ろしさがより実感できるのではないだろうか。
■54兆という桁外れの数字!『ワンパンマン』黒い精子
ONEさん原作、村田雄介さん作画の漫画『ワンパンマン』に登場する「黒い精子」は、無数の個体が集まった群体型の怪人である。1体あたりの戦闘力は子犬にも勝てないほど低いが、分身を生み出す能力によって、その弱さを補って余りある脅威となる。
その恐ろしさがよく表れているのがコミックス第23巻「怪人協会編」でのS級ヒーロー・アトミック侍と対峙したシーンだ。
アトミック侍は黒い精子を次々と斬り刻むが、倒したはずの相手から分身が生まれ、かえって数を増やしてしまう。やがて黒い精子の大群に取り囲まれ、圧倒的な物量で追い詰められていった。
黒い精子が保有する個体数は、ONEさんの原作版で約11兆4491億体、村田さん作画の漫画版では約54兆体にも及ぶとされる。コミックス第31巻では、この膨大な細胞が融合した「白金精子(プラティナム精子」も登場。分裂による「数」の暴力だけでなく、無数の個体を1つに束ねることで「極限の個」を作り出し、「怪人協会編」でも最強クラスの実力を持つ覚醒したガロウと、互角以上の攻防を繰り広げた。
1体では子犬にすら劣る戦闘力だが、分身を増やし続ければS級ヒーローさえ圧倒。さらに、膨大な数の個体を融合させれば、強大な戦闘力まで手に入れることができるのだ。黒い精子の恐ろしさは、底知れない物量と、数を力に変える特異な能力にあった。
ひと口に分身といっても、超スピードが生み出す残像から、1000人以上の一斉攻撃、分身が分身を生み出す増殖、さらには54兆もの細胞が融合する進化まで、その表現は実に多彩だ。
敵を翻弄するためのシンプルな技が、戦場を埋め尽くす大軍勢となり、ついには想像を絶する数にまで達する。分身という誰もが知る能力1つを取っても、作品ごとにこれほど違った見せ方が生まれるのだから面白い。
分身の数も、その表現方法も、作者の発想次第で無限の広がりを見せる。今後も、漫画ならではの驚きに満ちた「分身能力」の登場に期待したい。
■全42巻!Kindleで『僕のヒーローアカデミア』をチェック



