漫画やアニメの世界では、強大な敵を打ち破るためにさまざまな能力が登場する。なかでも、自分とまったく同じ姿の分身体を生み出す、いわゆる「分身の術」は、数の優位を生かした戦術や相手の意表を突くトリッキーな技として、多くのファンを魅了してきた。
しかし、ひと口に「分身」といっても、その表現は作品によって異なる。敵を惑わせる残像のようなものから、戦場を埋め尽くさんばかりの大軍勢を生み出すものまで、作者たちの発想には驚かされるばかりである。
今回は、誰もが知っている人気漫画に登場する「分身」の描写に注目。分身の術の使い手たちによる印象的なシーンを取り上げながら、読者の想像を超えるスケールを紹介していく。
※本記事には各作品の内容を含みます。
■クラス全員分の分身で個別指導!『暗殺教室』殺せんせー
松井優征さんの漫画『暗殺教室』に登場する殺せんせーは、最高速度マッハ20を誇る謎多き超生物である。そんな彼の規格外の能力がとりわけユニークな形で発揮されたのが、コミックス第2巻収録の第12話「支配者の時間」だ。
中間テストを控えたE組の生徒たちのため、殺せんせーはクラス全員分の分身を作り出し、一人ひとりにマンツーマンで特別指導をおこなうのである。
国語6人、数学8人、社会3人、理科4人、英語4人、(ナルト1人?)と、科目ごとに分かれて、生徒たちを徹底的に指導する殺せんせー。生徒それぞれの苦手分野に合わせてマンツーマンで教えるという、まさに超生物ならではの可能な究極の個別指導だ。
しかも、分身のうち1体は屋外のデッキチェアでジュースを片手に、優雅に読書を楽しんでいた。本人曰く「身体を休めている」ということだが、分身を増やしたことで、かえって疲れそうにも思える。
地球を破壊すると宣言する暗殺対象でありながら、生徒たちの成長を誰よりも真摯に考える殺せんせー。その超スピードを生かした分身による指導シーンには、彼の教育者としての深い魅力が表れていた。
■1000人以上のナルトが一斉攻撃!『NARUTO』多重影分身の術
岸本斉史さんの漫画『NARUTO-ナルト-』において、主人公・うずまきナルトを象徴する忍術といえば「多重影分身の術」だろう。
この技が読者に強烈な印象を残したのが、物語の第1話で描かれたミズキとの戦闘シーンだ。自分を理解し、庇ってくれた恩師・うみのイルカを傷つけられたナルトは、「千倍にして返してやっから」と啖呵を切り、禁術の巻物で修得したばかりの「多重影分身の術」を発動。実体を持つおびただしい数の分身を生み出し、ミズキを完全に圧倒するのだ。
見開きページいっぱいにナルトが現れ、敵を取り囲んだ光景は圧巻のひと言。連載第1話にして読者の心を鷲づかみにした名シーンだ。
なお、このときナルトが繰り出した「多重影分身の術」は、膨大なチャクラを消費する危険な高等忍術であり、禁術に指定されている。
しかし九尾を体内に宿し、膨大なチャクラを持つナルトにとって、この術はまさにうってつけの忍術だった。圧倒的なチャクラ量を活かして無数の分身を生み出すこの術は、彼の代名詞となり、数々の強敵との死闘を支える欠かせない武器となっていくのである。


