■二度の逆境を跳ね返した奇跡のゴルフ漫画…『ライジングインパクト』
1998年に連載された鈴木央氏の『ライジングインパクト』は、ゴルフに魅了された少年を主人公に、天才たちが集う世界での熱き戦いを描いた作品だ。
主人公であるガウェイン・七海は、当初はプロ野球選手になる夢を抱いていたが、あるプロゴルファーとの出会いをきっかけにゴルフの魅力に目覚め、その世界にのめり込んでいく。
イギリス人の父と日本人の母を持つハーフでありながら福島弁で話すガウェインの、親しみやすく明るい人間性や、作者の得意とするコメディタッチな描写、そしてスポーツ漫画ならではの熱い描写が融合した、実に見どころの多い作品である。
ゴルフというスポーツのイメージをも一変させた名作だが、実は本作は二度の早期終了を経験している作品でもあった。
一度目は1999年のこと。連載終了になったものの、当時のファンの熱い要望を受けて、同年のうちに連載再開。そこから約3年間ほど連載は続いたが、2002年に二度目の連載終了を迎えることになった。
再び物語の途中で幕を下ろすことになったが、ここで終わらないのが本作の凄まじいところ。驚くべきことに、同年に『赤マルジャンプ』(集英社)にて本作の「完結編」が連載され、物語は見事完結まで駆け抜けたのである。
凄まじい粘り強さを見せた本作だが、その復活劇はここで終わらない。
「完結編」が描かれた後、時を経て2024年……ついにNetflixにてアニメ化が実現。連載終了からなんと20年以上経ってから、ガウェインたちの戦いが新たなかたちで蘇ったのである。
早期終了の憂き目に遭いながら、熱烈なファンに支持された作品だからこそ成し遂げた、まさに奇跡の復活劇といえるだろう。
連載の早期終了という結末は、作者にとっても読者にとっても切ない幕切れである。
だが、今回紹介した作品たちのように、長い年月を経てから再び日の目を見る例も、たしかに存在した。その復活の裏には、作品を愛し続けた作者と読者の揺るぎない熱意があったのは疑いようがない。
一度は途絶えた物語が再び動き出す瞬間、どんなクライマックスにも勝る特別な感動と熱狂を読者にもたらしてくれるのだ。


