岸本斉史氏の描く『NARUTO-ナルト-』では、最終回で主人公・うずまきナルトと日向ヒナタが夫婦となったことが描かれ、多くの読者を驚かせた。
というのも、ヒナタが幼い頃からナルトへ一途な想いを寄せていたことは知られているが、当のナルトは物語の大半で春野サクラに好意を寄せていたからだ。「一体いつからヒナタを好きになったのか」「サクラから心変わりしたのでは」と感じた人も少なくないだろう。
しかし2人が結ばれたのは、決して突然の心変わりではない。ナルトの気持ちは少年時代からさまざまな出来事を経て、少しずつ変化していったのだ。
そこで今回は中忍試験やペイン戦、そして劇場版『THE LAST -NARUTO THE MOVIE-』で描かれたエピソードをたどりながら、2人が絆を深めていった軌跡を追ってみたい。
※本記事には作品の内容を含みます。
■『THE LAST』で明かされたヒナタの一途な想い
まず押さえておきたいのは、ヒナタの想いがいつ始まったのかという点だ。その原点は、2014年公開の劇場版『THE LAST -NARUTO THE MOVIE -』で描かれている。
幼いヒナタは特異な瞳術・白眼を理由に、同年代の子どもたちにからかわれていた。そんな彼女の前に現れたのが、ほかでもないナルトだ。
「オレはうずまきナルト、未来の火影だってばよ!」。そう名乗ってヒナタを助けようとしたナルトだったが、当時は忍術も満足に使えず、多勢に無勢で返り討ちに遭ってしまう。
ナルトにとっては、自分を馬鹿にする者に立ち向かう日常の延長線だったのかもしれない。しかし、自分に自信を持てず、孤独の中にいたヒナタにとって、それは大きな意味を持っていた。
この出来事こそが、ヒナタの長い恋の始まりだったのである。まだ里の人々がナルトを認めていなかった頃から、ヒナタは誰よりも早く、彼の強さと優しさに気づいていたのだ。
■中忍試験で芽生えた、ナルトの中のヒナタへの意識
一方、忍者学校(アカデミー)に入ったばかりのナルトはサクラに夢中であり、ヒナタに対しては、「オレが見ると目を背ける変なやつ! 暗くて恥ずかしがり屋な女の子」という程度の認識しか持っていなかった。この時の彼の目には、少し変わったクラスメイトとしか映っていなかったのである。
それでもヒナタは、中忍試験の第一試験で自分の答案を見せようとしたり、キバとの戦闘で傷ついたナルトへ真っ先に塗り薬を差し出したりと、一貫して彼を気にかけていた。一方ナルトは、「なんでオレなんかに?」と戸惑うばかりで、その想いには気づいていない。
そんなナルトのヒナタに対する見方が大きく変わったのが、中忍試験本戦、日向ネジとの戦いを前にした時だった。
日向一族最高の天才と称されるネジとの戦いを控え、「オレは失敗ばっかりだ」と珍しく弱気になるナルト。そんな彼に、ヒナタは「ナルトくんは失敗したっていつも…… わ…私から見れば… 誇り高き失敗者だったもの……!」と勇気を振り絞ってエールを送る。
落ちこぼれと蔑まれても努力を重ねてきた自分のことを、誰よりも見てくれていた。その事実はナルトの胸に深く刻まれ、「お前みたいな奴って……けっこー好きだってばよ!」という言葉を返す。
もちろん、この「好き」の言葉は恋愛感情ではなく、仲間としての好意だったのだろう。それでも、この頃からヒナタは、ナルトにとって単なる「変な奴」ではなく、自分を理解し認めてくれる信頼できる相手として意識され始めたのである。


