漫画だけでなくテレビアニメも大人気の後日譚ファンタジー『葬送のフリーレン』(原作:山田鐘人さん、作画:アベツカサさん)。牧歌的な雰囲気を漂わせる一方で命がけの戦闘も描かれ、多くのキャラクターがあっさりと退場していくというギャップは本作の大きな特徴だ。
その傾向がとくに強いのが、主人公・フリーレンたちと敵対する魔族である。
人間との相互理解が不可能といわれる魔族は常に敵として現れ、その登場エピソードで倒されるケースがほとんどだ。だが彼らの面白いところは、すでに物語から退場したにもかかわらず、根強い人気を維持するキャラがちらほらいるところだろう。これは、特撮作品『ウルトラマン』シリーズの怪獣たちが愛され続ける現象とも通じるものがあるのかもしれない。
そこで今回は、物語から退いた後もなお高い人気を誇る、いわば「愛され魔族」たちを紹介していこう。
※本記事には作品の内容を含みます。
■悲惨な最期を迎えながらもファンの間で愛され続ける「断頭台のアウラ」
退場後もファンから愛され続ける魔族の筆頭格と言えば、“七崩賢”の一角である「断頭台のアウラ」で間違いない。
500年以上生きた大魔族であるアウラは、自身より魔力が劣る相手を従える「服従させる魔法(アゼリューゼ)」を扱い、勇者ヒンメルとの戦いも生き延びた実力者だ。
しかし、漫画では第22話、アニメは第10話でフリーレンに倒された“序盤の敵”であり、その最期は自身の魔法を逆手に取られ、自らの手で首をはねるという惨めなものだった。
この背景だけを見ると、とても人気が出るとは考えにくいキャラクターに思える。しかし、「ヒンメルはもういないじゃない」といった印象的なセリフや、「…ありえない…」と泣きながら自害する衝撃の最期がファンの心にヒット。テレビアニメ放送をきっかけに大ブレイクし、第2回人気投票では勇者ヒンメルに次ぐ第2位にランクインするという快挙を成し遂げた。
アニメ放送当時、フリーレン、フェルン、シュタルクに続く4人目の仲間としてアウラが旅に同行するといった二次創作もインターネット上で多く描かれ、今もなお多方面で愛されるキャラとして確固たる地位を築いている。本編ではきれいに退場しているので復活は考えづらいが、過去の回想シーンなどでまた姿を見られる日が来るかもしれない。
■シュタルクとの激闘が人気の理由? アウラの部下「リーニエ」
アウラの部下として登場した魔族の少女・リーニエも、テレビアニメ放送をきっかけに人気が爆発した魔族の1人だ。
ツインテールが特徴的な幼い少女の風貌をしたリーニエだが、その本質は一度見た相手の動きや技をコピーする「模倣する魔法(エアファーゼン)」を操るやっかいな魔族だ。作中では、勇者パーティーの戦士であったアイゼンの戦闘技術を完璧に模倣し、魔力で生成した斧を手にシュタルクと戦った。
アニメでは、シュタルクとの戦闘シーンが極めてダイナミックに描かれ、映像ならではの迫力で「こんなに強かったのか」という驚きをもたらした。担当声優・石見舞菜香さんの儚げな演技と、戦闘時の容赦ない猛攻とのギャップも魅力で、アニメ第1期のなかでも特に評価が高いバトルとして知られている。
アイゼンの弟子であるシュタルクと、その師の技を模倣したリーニエが戦うという、疑似的な「師弟対決」という構図も人気を後押しした要因かもしれない。
戦いの結果は、シュタルクが放った相打ち覚悟の捨て身の一撃に対応できず敗北、リーニエは塵となって消滅した。劇中ではシュタルクに完敗したわけだが、アニメ放送後の第2回人気投票ではリーニエが第6位、シュタルクは第7位と、こちらでは僅差で競り勝っている。
リーニエがアイゼンを模倣したことも含め、本編内外で因縁を感じさせる2人だ。


