■最後の最後で見せた父としての姿『呪術廻戦』 伏黒恵VS伏黒甚爾
近年の作品に描かれた親子対決といえば、『呪術廻戦』の伏黒恵と伏黒甚爾の戦いを思い浮かべる人も多いだろう。『呪術廻戦』のメインキャラクターの1人・伏黒恵の父親は、呪術界の名門・禪院家の血を引く伏黒甚爾だ。
「天与呪縛」である「フィジカルギフテッド」によって人間離れした運動能力を持っていた甚爾は、かつて「術師殺し」として恐れられたが、学生時代の五条悟との死闘の末に命を落とす。だがそこから10年以上の時を経て、特殊な術式によって理性を失った状態で一時的に現世へとよみがえった彼は、強者を求める本能から、皮肉にも実の息子である恵に襲いかかる……。
甚爾は、恵が「十種影法術」で繰り出す式神をものともせず、純粋な速さとパワーで猛攻。その圧倒的な強さに恵は防戦一方となり、「やるしかないのか…!?」とさらなる切り札を出すことを覚悟した。しかしその後、戦いは意外な結末を迎える。
命がけで立ち向かう恵を前にして、理性を失ったはずの甚爾の脳裏に自分が名付けた息子のことがよぎった。禪院家で虐げられてきた甚爾は、愛する妻の死をきっかけに自暴自棄となり、息子である恵を捨てた。しかし、五条との戦いで命を落とした際、彼に息子を託すような言葉を最期に残している。
それだけ心残りだったのか、突如として甚爾は「オマエ名前は」という問いを恵に投げかける。恵が怪訝な表情で「伏黒……」と答えると、甚爾は「禪院じゃねぇのか」「よかったな」と笑顔を浮かべ、なんと自分の頭に武器を突き刺すのだった。
結果として甚爾は成長した息子に再会できたわけだが、対する恵は目の前に立つ男が父親であるという事実を知る由もなく、突然の展開にとまどいを隠せなかった。息子のために自滅を選んだ甚爾の心中がどんなものだったのか、想像するだけで胸が締めつけられる味わい深い結末である。
親子だからこそ愛しあったり、憎み合ったりする。そんな両者が全力でぶつかり合う展開は、単にバトルとしてアツいだけでなく、人間ドラマとしても強烈な熱を放つ。あなたの印象に残っている親子対決には、どのようなものがあるだろうか。
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