1985年より『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて連載が開始された、車田正美氏の名作『聖闘士星矢』。本作のメインキャラクターは、主人公のペガサス星矢をはじめとする5人の青銅聖闘士(ブロンズセイント)である。
その中でも特に異彩を放つのが、甘いマスクと戦士らしからぬ優しい心を持つアンドロメダ瞬だ。 激しいバトルが繰り広げられる本作において、「相手を傷付けたくない」と葛藤する彼は、まさしく異色の存在といえる。
しかし、瞬が本気を出せば作中屈指の実力を誇り、誰よりも熱い自己犠牲の精神を持っている。今回は、そんなアンドロメダ瞬の魅力と、内に秘めた凄まじい強さとのギャップについて深掘りしていきたい。
※本記事には作品の内容を含みます。
■「人を傷つけたくない…」可憐なルックスと優しすぎる性格の裏に隠された真の強さ
瞬といえば、青銅聖闘士の中でも特に中性的で美しい容姿が特徴である。物語序盤の「銀河戦争編」での登場時は、観客から「瞬くぅ~〜んすてきいー!」という大声援をもらっており、メンバーの中でも屈指のモテキャラであることが分かる。
また、性格は非常に優しく、たとえ敵であっても傷つけることを嫌い、「争いごとがいやなのです 人を傷つけたくないのです」と語るほどである。その優しさは、常に自分を守ってくれた強い兄・フェニックス一輝と過ごした幼少期の影響も大きいだろう。
しかし、彼は決して弱いわけではない。幼少期に聖闘士として修行を積んだ際、昼は50度を越える灼熱地獄、夜は零下数十度にも下がるという「アンドロメダ島」のシビアな環境を生き抜いた経験がある。
岩に鎖でつながれ、潮が満ちるまでに自力で抜け出さなければ海の怪物の生贄となる過酷な「サクリファイス」の儀式をも突破し、見事アンドロメダの青銅聖衣を手に入れた正真正銘の聖闘士なのだ。
瞬の基本的な戦闘スタイルは、両腕に装備したネビュラチェーン(星雲鎖)を防御や攻撃に用いる。あくまで身を守る戦い方に徹し、敵の命を奪うことを極力避けようとするが、いざという時には、己の小宇宙(コスモ)を極限まで燃焼させるだけの強さを秘めていた。
修行を終えて島を去る際、恩師である白銀聖闘士(シルバーセイント)ケフェウス星座のダイダロスにだけ見せた底知れぬ小宇宙は、彼が秘めた真の実力を物語っている。
■実は青銅聖闘士最強クラス!? 本気を出した時の「ネビュラストーム」の圧倒的破壊力
平和主義者で情にもろい瞬だが、ひとたび武器の鎖を外して本気を出した時の実力は、青銅聖闘士の中でも最強クラスといっても過言ではない。その真価が発揮されたのが、「黄金聖闘士編」における魚座(ピスケス)の黄金聖闘士(ゴールドセイント)アフロディーテとの戦いである。
毒を持つ「ロイヤルデモンローズ」の香により五感を奪われかけながらも、恩師・ダイダロスの仇を討つため奮闘する瞬。最後はチェーンを使わず、真の力である素手の技「ネビュラストリーム(星雲気流)」を放つ。
相手の動きを封じるこの技は、瞬の意志次第で威力を増し、最終的には何もかも粉砕する嵐となって敵の命を奪う「ネビュラストーム(星雲嵐)」へと変化する。このチート級の破壊力を持つ大技で、瞬は格上であるアフロディーテを撃破したのである。
また、「ポセイドン編」における南太平洋の柱での戦いでは、海将軍(ジェネラル)スキュラのイオが繰り出す6種の聖獣拳に対し、ネビュラチェーンを「スパイダーネット」や「イーグルクラッチ」といった形状に変化。相手の技に応じて対応するなど、高い戦闘センスと適応力を披露している。
戦いや殺生を嫌い、敵にすら情けをかけて甘さを指摘されることもある瞬だが、いざ覚悟を決めた時に見せる力は凄まじい。「温厚な人ほど怒ると怖い」という言葉を体現するかのように、瞬の静かな怒りは恐るべきパワーを秘めているのだ。


