■ひと言では言い表せられないルパンとの関係
“刑事と泥棒”あるいは“宿敵”といった言葉では括りきれないルパンとの奇妙な関係も、銭形を語るうえで外せないエッセンスである。
たとえば映画『ルパン三世 ルパンVS複製人間』では、処刑されたはずのルパンが生きていたと知った銭形が、「ルパンという人間がいる限り 私は日夜永遠に追い続ける義務があるんだよ」とうれしそうに宣言するシーンが印象的だ。
大泥棒のルパンは、警察にとって厄介者のはずだが、銭形にとってはそれだけではない。ルパンを追いかける日々こそが、彼の生きがいであることがうかがえる一幕だ。
また、テレビアニメ『ルパン三世 PART4』のエピソード「満月が過ぎるまで」でも、銭形とルパンの奥深い関係の一端が描かれている。莫大な隠し財産を持つ未亡人・エレナをルパンから守る任務についた銭形は、クライマックスでルパンの行動を読み切って彼女を守り抜いた。
しかし、そのエレナは財産を守るために銭形をだまして利用していたことが判明する。自分をだました女性すら守ろうとする銭形に対し、ルパンは「今回は父っつぁんに花を持たせてやるか」とぼやき、何も盗らずに撤退するのだ。
ルパンをよく知るからこそ次の手を推理できた銭形と、お宝よりも銭形の心意気を汲んだルパン。敵対関係でありながらも、互いを認め合う2人の気持ちが感じ取れる名エピソードだ。
ルパンをまぬけに取り逃がしてしまうコメディな面もあれば、刑事として超一流の実力を持つハードボイルドな一面も持っているのが、銭形という男だ。正反対な2つの顔を持つ魅力こそが、彼を本作に欠かせないキャラクターたらしめているのではないだろうか。
今後『ルパン三世』を見る時は、「今回のとっつぁんはやられ役か、それともクールでカッコいい役か?」と気にしながら視聴してみるのも面白いかもしれない。
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