考え方の違い? それとも弟子への愛情?『葬送のフリーレン』なぜゼーリエは、一級魔法使い試験でフリーレンを不合格にしたのかの画像
※画像は2024年2月2日に投稿された『葬送のフリーレン』アニメ公式X(@Anime_Frieren)のポストより

 『葬送のフリーレン』(原作:山田鐘人氏、作画:アベツカサ氏)の「一級魔法使い試験編」は、原作漫画・アニメともに高い人気を誇る名エピソードのひとつだ。それまでフリーレン一行を中心に描かれてきた物語に、魅力的なネームドキャラクターが数多く参加し、熱いバトルや深い人間ドラマが展開された。

 その「一級魔法使い試験編」には、1つ気になる描写が存在する。1000年以上の時を生きた魔法使い・フリーレンが、最終試験で「不合格」にされたことだ。

 フリーレンの不合格を決めたのは、“現代最強”と謳われる大魔法使い・ゼーリエだが、彼女は実力と見込みのある魔法使いを正当に評価し、合格させている。実力ならば受験者の中で文句なくナンバーワンであるフリーレンを、なぜゼーリエは認めなかったのだろうか。

 今回は、作中で明確な理由が語られていない「フリーレンの不合格」について、いくつかの説をもとに考えてみたい。

 

※本記事には作品の内容を含みます。

 

■フリーレンはゼーリエが望む魔法使いではない?

 一級魔法使い試験の最終試験は、試験官であるゼーリエが受験者と面談する形式だった。「ゼーリエの直感はいつも正しい」とフリーレンが語ることから、彼女の考えが合否に影響することは間違いない。あえて悪い言い方をするならば、ゼーリエの価値観や好みが合否を左右する試験ともいえるだろう。

 その点においてフリーレンは、実力はあってもゼーリエが好む魔法使いとは異なっていた。なぜなら、2人の魔法に対するスタンスには大きな隔たりがあるからだ。

 ゼーリエは、魔法とは戦いによって研ぎ澄まされるものであり、扱う者には燃えたぎるような野心があるべきだと考えている。実際、彼女がこれまで選んできた一級魔法使いは、戦闘面に長けた者ばかりだった。

 一方、フリーレンにとって魔法とは“探し求めている時が一番楽しい”ものだった。彼女は、直接戦闘には役立たないような、いわゆる「くだらない魔法」を好み、旅の合間でも収集を欠かさない。

 この価値観の違いは、1000年以上前に2人が出会った頃から決定的だった。当時ゼーリエは、初対面のフリーレンに「駄目だこの子は」と断じ、落第を突きつけたほどである。

 そして1000年以上の時を経て、2人は最終試験の場で再会する。その際ゼーリエは、フリーレンに「好きな魔法を言ってみろ」と問い、フリーレンは戦いには不向きな「花畑を出す魔法」と答えた。1000年経っても変わらないフリーレンの魔法に対する向き合い方を見て、ゼーリエはあらためて不合格を下したとも考えられる。

■フリーレンには一級魔法使いになる意志がなかった?

 2つ目の説として、フリーレン自身に「一級魔法使いになろう」という意志がなかったことが挙げられる。

 そもそもフリーレンが試験を受けた理由は、目的地である北部高原に入るために一級魔法使いの資格が必要だったからにすぎない。あくまで旅を続ける必要性から資格を求めただけで、フリーレンか、同行する弟子・フェルンのどちらかが合格すればいいと考えていた。当初はフェルンのみが受験する予定だったが、彼女にねだられて渋々参加したという経緯がある。

 また、フリーレンが規格外の大魔法使いというのもポイントだろう。彼女はかつて魔王を討伐した勇者パーティーの一員であり、歴史上で指折りの大魔法使いだけが持つとされる「聖杖の証」を授けられたエルフである。その実力は通常の一級魔法使いの比ではなく、わざわざその資格の枠におさまる必要もなかった。

 これらの背景から、フリーレンは一級魔法使いになる気はなかったことがうかがえる。面談でゼーリエは、「お前(フリーレン)も一級魔法使いになった自分の姿をイメージできていないな」と指摘したが、それに対してフリーレンは特に反論していない。彼女は本当に、その姿をイメージしていなかったのだろう。

 結果としてフリーレンは不合格になったが、フェルンは見事合格を果たした。自分が落ちてもフェルンさえ受かれば旅の目的は達成されるため、ある意味彼女の目論見通りになったわけだ。

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