■「ギリギリ」を目指したゲームバランス

宇内:クリーチャーについても伺いたいのですが、「ノイジー」がすごく強いと話題になっていました。ノイジーが強くなったのはどんな経緯があったのでしょうか。

深澤:これに関しては、ネットで盛り上がっていたのも把握しています(笑)。ノイジーはもともと「音に反応するゾンビ」として設計していて、それで音を使った遊びをいろいろと考えていたんですね。
 ところが開発途中のテストプレイ中に、東館のゾンビが1体もいなくなってしまったことがあったんですよ。「これはバグじゃないのか?」「いったい何が起きているんだ?」とプログラマーたちと調べてみたら、バグではなく、ノイジーが全部倒してしまっていたんです(笑)。
 実はそのとき、ノイジーはプレイヤーの音だけじゃなく、全ての音に反応するように設定されていたんですね。それでノイジーは、ほかのゾンビやクリーチャーの音に反応して、全部倒してしまった。開発スタッフみんながびっくりしました(笑)。
 それもあって、最終的にプレイヤーの音にだけ反応するようになったんです。

宇内:クリーチャー同士が戦うという要素があるからこそ、ノイジーの強さが明らかになってしまったんですね。

深澤:仮に気づいても、ノイジーを活かすには“工夫”が必要ですし、あえて強さはそのままにしました。今回プレイヤーのみなさんの間で「ノイジー最強説」があがっていますけど、そういったノイジーの強さと驚きがみなさんに伝わったのは嬉しいですね。

宇内:それで言うと今回、ゲームのバランスがすごく絶妙だなと思ったんです。私がプレイしていて、療養所の地下に行く前、グレースがレクイエムの最後の一発を撃ち切ったところで、ちょうどレオンパートに切り替わったんですよ。
 そういうギリギリのバランスになるように、物資の配置や装備の制限などを計算しているんだなと感じて、本当に感動しました。このバランス設計はどのようになさったのでしょうか。

深澤:療養所のゲームパートの調整は、何度もスクラップ・アンド・ビルドを繰り返しました。まさに今、宇内さんがお話されたように、残弾がギリギリだったけど、なんとか生き延びることができたと多くの方が体験できるようにバランスを調整しています。
 弾数が何発あったらいいんだろうか。怖さやスリルといった感情を引き出すために弾を増やすのか減らすのか。そういったことは繰り返し議論を重ねて決めています。

宇内:最後の1体がブリスターヘッドになった瞬間、絶叫しそうになりました(笑)。レクイエムの弾を一発残しておいてよかったとすごく感動したんです。もちろん、このあたりはプレイヤーごとに違う体験になっているんでしょうけど、本当に絶妙だったなと思いました。

熊澤雅登氏(以下、熊澤):テストプレイは開発チーム内でも行うんですが、別に専用のチューニングチームがいまして。そのチームが何度も何度もプレイをしてくれるんです。チューニングチーム内で『バイオハザード』を初めてプレイする方もアサインして、毎回どんなプレイをするのかを記録してもらっています。そして、そういうデータを重ねていってバランス調整をしているんですね。
 目標としては、全てのプレイヤーの方に楽しんでいただけることを考えていますので、まずは「スタンダード」の難易度で多くの方が楽しんでもらえるようなバランスを目指しています。

宇内:プレイヤーのスキルはどれくらいを想定しているんですか?

深澤:実は『バイオハザード』シリーズはプレイヤーの実力に合わせて、敵の強さや弾の配置が増減するようなシステムも用意しています。シューティングゲームの上手い下手に関わらずなるべく同じ体験ができるようにしているんです。

宇内:最高難度である「Insanity」については、どのような想定で作っていたのでしょうか。

深澤:「Insanity」に関しては、基本的に本編を1周以上プレイしているユーザーが遊ぶということを想定しています。だから、本編をプレイしたからこその裏切りをいろいろと散りばめているんですね。
 たとえば、序盤に登場するゾンビがブリスターヘッドになる、「もうここで!?」というドッキリがいきなり用意されています。ほかにも療養所の食堂にハンドガンが置かれていないので、武器なしで進まないといけなかったり……あとは療養所のガレージのブルドーザーですね(笑)。

宇内:あのブルドーザーはバグかと思いました(笑)。「Insanity」は「Standard」からの裏切りがひとつの面白さにつながっているんですね。

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