■グレース、ギデオン、ゼノ…新キャラへの想い
宇内:今回、グレースという新キャラクターが主人公のひとりとなりました。長年続く『バイオハザード』シリーズに新たなキャラクターを導入するのはプレッシャーもあったのではないかと思います。グレースというキャラクターは、振り返っていかがでしょうか。
熊澤:グレースに感情移入できるかどうか、事前に何度もゲームプレイを重ねたうえで、自分たちも自信を持って送り出したキャラクターだったので、多くのプレイヤーのみなさんに受け入れていただけて良かったなと思っています。過去にも『バイオハザード7 レジデント イービル』のイーサン・ウィンターズがみなさんに愛されるキャラクターになったのかなとも思いますので、同じようにこれからもグレースを愛してもらえると嬉しいです。
深澤:今回のグレースというキャラクターは、これまでの『バイオハザード』シリーズにはなかった「怖がりの一般人」というキャラクター性になっているところが特徴で、開発チーム内でもどういう演技をさせるべきか議論を重ねていきました。
実際に、自分が担当したゲームプレイパートでも、「怖がり」を表現するために、ザ・ガールに追いかけられたときに、パニックになって走る演技を入れたり、怖い場面では息遣いが荒くなったり、怖がっている表情になったりと、従来にない感情表現を取り入れました。それによって、しっかりとキャラクター性を出していけたと思っています。
あと、レオンと対比したときに、グレースは「戦闘が不慣れ」というのも大きな特徴でした。体術がぎこちない感じだったり、「レクイエム」という銃を撃ったあとに手がしびれる動きを入れたりして、キャラクター性を強調したところもあります。
特に、グレースがレクイエムを撃つシーンについては、いろいろ試行錯誤があって。最初はレクイエムを撃った直後に転んでしまって立ち上がれない……みたいな演技も作っていたんです。でも、さすがにそれはやりすぎだろうという意見が出てきて、今の表現に落ち着いたという経緯もありました。
宇内:そんなことがあったんですね。
深澤:グレースはモーションアクターさんがすごく素敵に演じてくださいましたし、そこに声優の方の演技が加わることで、より愛されるキャラクターになったなと思います。
宇内:グレースの日本語版声優は、俳優の貫地谷しほりさんですよね。貫地谷さんはゲーム声優を務められるのが初めてだったと思いますが、収録はいかがでしたか。
熊澤:貫地谷さんはこれまでに吹き替えの仕事を経験されていましたし、こちらからこうしてほしいというディレクションをするようなことはあまりなく、グレースという役柄を自然に演じてくださいました。収録にも立ち会わせていただいた、アリッサとの過去シーンやエミリーとのシーンなど、エモーショナルなイベントシーンでの演技は個人的にとても印象的なのですが、グレースの怖がりなキャラクター性を象徴する息遣い、さらにはダメージを受けたときの声のお芝居の細かい違いなども素敵に演じてくださいました。
宇内:貫地谷さんがグレースを理解して演じてくださったんですね。本作の新キャラクターというと、ヴィクター・ギデオンとゼノも登場しました。彼らにはどんな役割を持たせたいとお考えだったんでしょうか。
深澤:良い質問ですね(笑)。ギデオンはストーリー上では元アンブレラの研究者で、スペンサー(オズウェル・E・スペンサー/t-ウィルスを開発したアンブレラ社の創設者)の妄信者でもあります。レオンからも「アンブレラの亡霊」と呼ばれるなど、バイオテロとしての“過去”を象徴するキャラクターです。レオン編では、過去の「ラクーン事件」を清算するという立ち位置として描いていました。
一方のゼノは、ギデオンとは対照的に、裏に潜んでいるコネクションという組織の一員で、バイオテロとしての”将来”を暗示するような立ち位置にいるのかなと考えています。
宇内:どちらのキャラクターも憎めない存在でした。それぞれに事情があり、目指す道も違う。良いキャラクターだったので、その退場シーンは寂しさも感じました。特にゼノの活躍をもう少し見たかったっていう気持ちもあります。
熊澤:プレイヤーの皆様からも、そういった反響の声を多くいただいており嬉しく思います。我々としても、ゼノは大切なキャラクターのひとりとして考えています。
【プロフィール】
宇内梨沙(うないりさ)
ポップカルチャーを心から愛する元アナウンサー。2015年、TBSテレビに入社。アナウンサーとして多数の番組を担当する一方、ラジオやYouTubeなどでゲーム偏愛を披露。2025年にTBSを退社し、現在は『Twitch』でゲーム配信者として活動中。
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