■「2つの視点」を採用した理由

宇内:今回はTPS(三人称視点)とFPS(一人称視点)の2つの視点を自由に変更できるというのが素晴らしかったです。プレイの幅が広がって、いろいろな人が多彩なプレイができたんじゃないかと思います。開発のみなさんの手ごたえはいかがでしたか。

深澤:FPSとTPSの切り替え機能については、とても手ごたえを感じています。リリース後の感想や評価を見ても、2つの視点がそれぞれ遜色のない品質で遊べることを評価していただけたんじゃないかと思っています。
 特にグレース編はホラーテイストになっているのでTPSを選択できることで、プレイヤーの間口を広げることができたのかなと思いますね。

宇内:FPSとTPSを使い分けたRTA(タイムアタック)はご覧になりましたか?(笑)

深澤:全部ではないですが、見ています(笑)。基本的にTPSとFPSで体験に違いがないようにギリギリのバランスにしているんですけど、どうしても仕様が変わるところが出てしまいます。
 たとえば、近接攻撃もより直感的にプレイしてもらえるよう、TPSとFPSとで挙動を変えています。TPSであれば『バイオハザード RE:4』のように出し切るまで動けないアクションですが、FPSでは『バイオハザード ヴィレッジ』のように近接攻撃中にも移動することができます。いろいろと違う部分があるので、シチュエーションごとに若干有利な視点があるところもあります。
 普通にプレイするという意味ではほとんど差がないんですが、極限のタイムアタックとなると、視点による細かな仕様の違いも攻略に活かせる……のかもしれません。RTAに挑まれているプレイヤーの動画には、僕たちの想像を超えた攻略のすごさを感じて、いつも感心しながら拝見しています。

宇内:開発コストで考えると、2種類のゲームが入っているのと同じで、単純計算で2倍になるんじゃないかと思うんですけど、この挑戦はみなさんにとってどんなものだったのでしょうか。

深澤:前作『バイオハザード ヴィレッジ』ではFPSだったものに、TPSモードを追加するというDLC(ダウンロードコンテンツ)を配信しました。そのため社内では『ヴィレッジ』でできたのなら、次の作品では最初から両方の視点ができるんじゃないの? という開発チームへの期待感があったんですよね。
 でも、そのまま真っ直ぐにTPSとFPSを作ると、おっしゃるとおり、作業コストがめちゃくちゃかかってしまう。そこで『レクイエム』ではグレースのFPS、レオンのTPSをデフォルト視点として優先しつつ、逆の視点も含めてこだわるべき部分、効率化すべき部分を整理して、開発を進めていきました。
 リロードなど画面にはっきりと映るアクションはそれぞれTPS、FPSに合わせて作っていますから、本当に2倍作っているということになりますね。ただ、移動の足さばきなどTPS視点のときにだけ目立つアクションは、FPS視点でもTPSと同じモーションにしています。

熊澤:カメラ視点については、作品のたびに最適な視点を選択してきており、今後シリーズ作を作れるとしても、その作品ごとの特徴に合わせた選択をすることになると思います。今回は「恐怖とアクションの融合」という本作の特徴にふさわしい仕様として、カメラ視点が選択できるというシステムにチャレンジすることができました。グレースをFPSで遊んでほしい、レオンをTPSで遊んでほしいという思いから始まって、スタッフの頑張りで実現でき、反響が大きくて本当に良かったです。

宇内:いや~TPSとFPSが切り替えられるのは、いちプレイヤーとしてもすごく助かりました。グレースがFPSだけだったら序盤はかなり怖いですよね。実はグレース編は怖すぎて、私はTPSでプレイしていたんです。とりわけ療養所の地下の探索は怖すぎました!(笑)
 たぶん、地下の探索はスムーズにプレイしたら1時間くらいで終わると思うんですが、5~6時間はプレイしている感覚がありました。恐怖感があまりにも強いと、時間が間延びするような感覚が味わえるんですね。

熊澤:宇内さん、ゲーム実況配信でも「地下の探索は長く感じた」っておっしゃっていましたね。地下チャプターにおける特徴として、宇内さんもプレイ中に驚かれていた敵「ザ・ガール」が象徴的だったと思います。ただ追いかけてくるだけでなく、サイズを大きくして「後には引けない」ことを印象付ける敵、どこから出てくるか「行動が予測できない」敵として設計することで、恐怖感を演出していますね。加えて、「明かり」をつけるべきか否か、などプレイヤーも考えながら進めないといけないという部分で、濃密なゲーム体験になるよう設計しています。

宇内:『バイオハザード』シリーズを長らくプレイしていると、「きっとこう来るだろう」という予測を立てて行動してしまうんですが、今回はそういうお約束のシーンでも怖いんですよ。わかっていても怖いというのは新鮮な体験でした。

 

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