1986年に『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて連載が開始された、荒木飛呂彦氏の『ジョジョの奇妙な冒険』。今年3月からは第7部『スティール・ボール・ラン ジョジョの奇妙な冒険』のアニメが配信されており、その人気はとどまるところを知らない。
本作の魅力の1つとして、第3部から登場した「スタンド」を使ったバトルが挙げられる。スタンド能力は多種多様であり、単純なパワーだけでは勝敗が決まらない。白熱する心理戦や相手の思考の裏をかく駆け引きには、見ているこちらもドキドキさせられたものだ。
そこで今回は、特に頭脳戦が印象的だったスタンドバトルを紹介していこう。
※本記事には各作品の内容を含みます。
■魂を賭けたギャンブル対決…第3部:ダービーVSジョースター一行
まずは、『ジョジョの奇妙な冒険 第3部 スターダストクルセイダース』で登場するギャンブラーのダニエル・J・ダービーVSジョースター一行のバトルだ。ダニエルは賭けに勝てば一行の探しているDIOのいる館を教えると言い、勝負を挑んできた。
彼のスタンド「オシリス神」は、ギャンブルで負けを認めた相手の魂を奪い、コインに変える能力を持つ。賭けに負け、コインに変えられてしまったジャン・ピエール・ポルナレフの魂を取り戻すべく、勝負が始まった。
まずは、心理戦にも長けているジョセフ・ジョースターが対決。なみなみと酒を注いだグラスにコインを交互に入れていき、先にグラスから酒があふれたほうが負けという表面張力を利用したコインゲームに挑んだ。
バレなければ不正もOKというルールの中、ジョセフは巧妙なイカサマを仕掛けるが、ダービーはそれを上回るトリックで応戦。彼はグラス底に仕込んだチョコレートを溶かし、表面張力に余裕を持たせて勝利し、ジョセフの魂を奪った。
続く空条承太郎とのポーカー対決では、ダービーはディーラーの少年と結託して不正を働く。
この少年はダービーに有利なカードを配っていくのだが、ここで承太郎は配られたカードを見ずに仲間全員の魂を賭けてレイズ。さらに自身の母親の魂と、「DIOのスタンドの秘密の暴露」まで賭けるという常軌を逸したブラフでプレッシャーをかける。
ダービーは、承太郎がスタンドで何かイカサマをしたのではないかという疑心暗鬼と恐怖に耐えきれず気を失い、負けを認めてしまった。
肉弾戦でのバトルシーンはないものの、純粋な心理戦だけで決着が付くこの対決は、シリーズ屈指の名勝負であった。
■罪悪感を利用した精神攻撃…第4部:小林玉美「ザ・ロック」VS広瀬康一「エコーズ」
『ジョジョの奇妙な冒険 第4部 ダイヤモンドは砕けない』では、卑しい性格でお金を巻き上げようとする小林玉美と真面目な高校生・広瀬康一が対決した。
玉美のスタンド「ザ・ロック」は、罪悪感を抱かせた相手の胸に錠前を取り付け、その罪悪感の大きさに比例して重くしていく能力だ。
玉美は康一の家族をターゲットに定め、姉にはわざと熱い紅茶を自分の手にこぼさせ、母親には康一に50万円を盗まれたとウソをついて罪悪感を植え付け、弱みを握って心を支配しようと企む。さらに、康一に反撃されると自らの腹を刺し、彼が犯人であるかのように見せかけることで、家族の罪悪感を極限まで増大させた。
「自分の息子がこんな恐ろしいことをするなんて…」と罪の意識で、母親は今にも自ら命を絶とうとする。追い詰められた康一だったが、自身のスタンド「エコーズ」の能力で反撃。「エコーズ」は擬音を物体に貼り付け、その音を体感させる能力を持つ。
母親の命を助けたかったら「エコーズ」の音を消すようにと脅す玉美に対し、康一はあえて「音を出す!」と宣言。そして「信じて!」という言葉を母親に浴びせた。これにより、罪悪感を抱いていた母親に康一を信じる気持ちが芽生え、錠前は解除されたのである。
相手をだまして良心につけ込む卑劣な能力に対し、信頼の力で打ち勝つという展開が見事なこのスタンド対決。先の読めない緊迫したバトルで、非常に盛り上がった一戦だった。


