作者・森下裕美が語る長寿漫画『少年アシベ』が「令和の小学3年生」になったワケ ゴマちゃん「黒目モード」誕生秘話もの画像
『小3アシベ QQゴマちゃん』(双葉社/森下裕美)

 1988年の連載開始以降、長く愛されてきた漫画『少年アシベ』シリーズ。現在『Webアクション』では最新作『小3アシベ QQゴマちゃん』(以下、『小3アシベ』)が連載されており、4月からはテレビアニメがスタートしている。

 これまで小学1年生の姿が描かれていたアシベたちが「3年生」になった姿が描かれた本作。今回は原作者である森下裕美さんに、主人公であるアシベたちの成長やキャラクターの作り方、ゴマちゃんの黒目モード誕生のきっかけなど、作品の裏話を聞いた。

■小学3年生は、まだ無邪気でいられる年齢

――『小3アシベ』では、アシベたちが連載当初の小学1年生から、小学3年生に成長していますね。

森下裕美さん(以下、森下):最初の『少年アシベ』から30年以上経っているので、10数年で1学年ずつ上がったような感覚ですね。

――今回はなぜ「小学3年生」という設定にしたのでしょう?

森下:アシベたちの成長した姿を描きたかったのですが、小学4年にしてしまうと、ある程度分別がついてきて、友だちとの関係といった、いわゆる人間らしい悩みが出てくると思うんです。

 でも3年生なら、まだ子どもとしての無邪気さが許されつつ、1年生の頃とは違って、考え方もいろいろ変わってくる時期です。そのあたりの設定で描いたほうが面白いかなと思い、小学3年生にしました。

――成長したアシベの姿が描かれる一方で、シリーズとして「ここだけは変えない」と決めている部分はありますか?

森下:森下は、締め切りだけは連載当時からすごく守りますよ。でも、他はそこまで“ここは変えない”と決めていることはないですね。決めてもすぐ忘れると思いますし。

 ただ、キャラクターの名前は身近なモノや人から決めることが多いです。主人公のアシベという名前は、昔見たライブハウスの看板に「ACB」と書いてあって、なんとなく響きがいいなと思ったところから来ています。

――現在連載中の『小3アシベ』では、アシベだけでなく、サブキャラクターたちの変化が印象的です。

森下:たとえば、アシベの同級生のサカタくんは、前のシリーズと比べて自我が目覚めてきた感じがありますよね。髪型を気にしたり、親に怒ってしまってあとから後悔したり、友だち関係や自分の生活について悩んだり……。

 子どもには、自分では解決できないいろいろな関わりがあって、その中で自分が「嫌だな」と思う瞬間がだんだんと出てくる。サカタくんは単純ではあるんですけど、いちばん物事を考えているのかもしれません。

――アシベに思いをはせるスガオくんは、以前より笑顔が増えた印象があります。

森下:前までは大好きなアシベに会えませんでしたからね。今は、アシベだけでなくクラスのみんなと一緒にいるので、笑顔が増えてきました。

――各キャラクターには、それぞれ役割のようなものを持たせていたのでしょうか?

森下:「この子にはこういう役割」と強く考えていたわけではないです。『白雪姫』の小人たちのように、怒っている子、笑っている子、あまりしゃべらない子がいて、その中でキャラクターを分けていた感覚が近いと思います。

――クラスメイトのほかにも、ペッペッペさんやイエティ、ゆみこちゃんのパパなど、一度見たら忘れられないキャラクターが多いです。

森下:たとえば、スガオの家庭教師役の修行僧は、『ゲゲゲの鬼太郎』のねずみ男のように、ライバルではないけれど脇にいて、ちょっかいをかけてくるようなポジション……というプロトタイプがありました。敵にも味方にもなるけど、実際にいたらいちばん嫌な人物ですよね。

 でも、修行僧なのに俗っぽいことが大好きで、ずうずうしく人についていくというギャップがあって。漫画だと、そういう個性的な人がいると話が動くんですよね。

――ご自身が『少年アシベ』の世界に入るなら、誰と友だちになりたいですか。

森下:友だちというより、小学校へ行きなおしたいです。私が小さい頃は、左利きが矯正される時代でしたから。スズキ先生や天堂先生のように、その子の得意なものを見てくれる先生が担任だったらいいですね。「みんな違ってみんないい」ということだと思います。

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