■SNSで知った、ファンの中にいるゴマちゃん
――SNSでの発信も活発ですが、始めたきっかけは何だったのでしょうか。
森下:知り合いから「もう少し露出したり、ファンとの交流をしたりしてみては?」と言われたことがきっかけです。それまで運営は人任せだったんですが、SNSをきっかけに、ファンの方がぬいぐるみを大事に持っていてくれていることも知れて、本当にありがたいです。
――長く続いているシリーズだからこそ、ファンの方もずっと大事にとっているんですね。
森下:原型をとどめていない、布の塊のようになっているゴマちゃんもいるんですよね。でも、それだけゴマちゃんを愛してくださっている。
お母さんやおばあちゃんが持っていたものを受け継いで、また新しいものを買い足している方もいます。ぬいぐるみのお医者さんできれいにしている方もいました。
――ゴマちゃんの黒目モードは、どのように生まれたのでしょうか。
森下:ファンの方が大切に持っていたゴマちゃんのぬいぐるみがいたのですが、ゴマちゃんの白目の部分が剥げてしまっていたんです。そこから発想を得ました。
――なかなか感情が読めない表情ですが、あの時のゴマちゃんは何を考えているのでしょう?
森下:うーん、虚無ですね。怒っているの? と言われることもありますが、あの黒目ですべての感情を表せるんですよ。悟っているときもあるし、何も考えていないときもあるし、逃避しているときもある。オールマイティの表情です。
■世代を超えて愛される『少年アシベ』シリーズ
――森下さんが最近ハマっているエンタメについても教えてください。
森下:ギレルモ・デル・トロが大好きです。もともとホラーやサスペンスが好きなんですが、デル・トロ作品は細かい造形や設定、配役がいいんです。『パンズ・ラビリンス』も好きですし、『シェイプ・オブ・ウォーター』も好きです。戦争の要素が入っていて、弱い者に寄り添う優しさがある。でも同時に、かなり変なところもある。そのバランスが全部取れているのがすごいと思います。
――最後に、世代を超えて『少年アシベ』が愛されていることについて、どう感じていますか。
森下:イベントやファンミーティングで、ファンの方に直接お会いして言葉をいただけるのはありがたいです。イベント前は楽しみでたくさん絵を描いたりするんですけど、終わるともうやりたくないと思うくらい全力でやっています。
またアニメも始まって、皆さんに楽しんでいただけているようなので、感想も聞かせてほしいです。昔から読んでくださっている方にも、今の子どもたちにも、アシベやゴマちゃんがそれぞれの形で届いてくれたらうれしいですね。
【プロフィール】
森下 裕美(もりした・ひろみ)
1962年生まれ、奈良県出身。1982年に漫画家としてデビュー。代表作に『少年アシベ』、『ここだけのふたり!』、『大阪ハムレット』など。『ここだけのふたり!』で第21回日本漫画家協会賞優秀賞を受賞。『大阪ハムレット』は第10 回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞と第11回手塚治虫文化賞短編賞をW受賞。現在は「月刊アクション」で『小3アシベ QQゴマちゃん』を連載中。
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