■他人の頭や足と自由に交換! トラブル続出の「人体とりかえ機」

 最後は、コミックス第11巻「からだの部品とりかえっこ」に登場する、他人の体のパーツを自由に交換できる「人体とりかえ機」である。

 宿題をラクに終わらせたいと考えたのび太は、しずかちゃんの優秀な頭と自分の頭を交換しようと企む。しかし、「人体とりかえ機」で頭を交換すると、意識や人格まで入れ替わってしまうことに気づき、この計画は失敗に終わる。

 ところが、のび太の体と入れ替わったしずかは、そのことに気づかず帰ってしまった。その後、ドラえもんはしずかの長い足、スネ夫は手、ジャイアンまで上半身をそれぞれ自分のパーツと交換。しずかの体のパーツを、3人がそれぞれ借りている状態になってしまうのである。

 事態は複雑化し、戻ってきたしずかが体を返すよう訴えても、何をどう返せばいいのか分からない大混乱に陥る……というオチでこのエピソードは終わった。

 異常に足が長くなったドラえもんや、上半身だけが華奢なジャイアンの姿は、作中屈指の衝撃描写だ。他人の優れた部分と自分の体を交換できるのは魅力的かもしれないが、その結果得られるアンバランスな姿はやはり不自然であり、不気味ささえ感じる。

 体のパーツを、まるで物のように自由に交換できるこの道具。冷静に考えてみると、背筋がゾクリとするような恐怖が湧き上がってくるのである。

 

 今回紹介したエピソードは、「テレビを見ながらお使いに行きたい」「宿題をラクに終わらせたい」といったのび太の些細な欲望から、人体を切断したり、皮を剥いだり、パーツを交換したりと、過激な手段に及ぶ展開が描かれている。

 もちろん現代にはこうした「ひみつ道具」は存在しないが、ラクをしたいからといって安易な行動に及ぶと、とんでもない悲劇を招くケースもあるという教訓が込められている。本当にホラーなのは「ひみつ道具」そのものではなく、それを使おうとする人間のよこしまな心なのかもしれない。

 

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とっておきドラえもん ぞくぞくぶるるホラー編 (てんとう虫コミックス)
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