「人間切断機」に「ダッピ灯」「人体とりかえ機」も…『ドラえもん』ブラックユーモアが過ぎる「ホラーなひみつ道具」の画像
てんとう虫コミックス『とっておきドラえもん ぞくぞくぶるるホラー編』(小学館)

 藤子・F・不二雄さんの代表作『ドラえもん』には、夢のような「ひみつ道具」がたくさん登場する。その多くは、のび太が使い方を誤って失敗するという結末を迎えるのだが、「あんな道具があればいいなあ」と胸をときめかせた読者も多くいるだろう。

 しかし、その中には使い方を間違えるとホラー映画のような恐ろしい展開になりかねないひみつ道具も存在する。体を簡単に切断できたり、体のパーツを他人と交換したりと、現代のコンプライアンスでは放送が難しいような、ブラックユーモアに満ちた道具も少なくないのだ。

 今回は、そんな「ちょっと怖いひみつ道具」が登場するエピソードを紹介したい。

 

※本記事には作品の内容を含みます。

 

■上半身と下半身が分離する恐怖! ホラーなひみつ道具「人間切断機」

 てんとう虫コミックス第10巻に登場する「人間切断機」は、その名の通り、人間を真っ二つに切断してしまう衝撃的な道具だ。

 「テレビを見ながらお使いに行きたい」というのび太のわがままに対し、ドラえもんが取り出したのが、この「人間切断機」である。のび太の上半身と下半身を切り離し、下半身に電子頭脳を取り付けてお使いに行かせようというのだ。

 本作が掲載された昭和の時代には、体を切断するマジックが流行した。のび太も「このまほうのたねは、ぼく知ってるよ」「からだの上と下はべつの人がはいるんだよね」と、単なるマジックのネタだと思い込んで安心するが、ドラえもんは「はいらない」と冷静に否定。

 その後、本当に体を切断されたのび太が、「ほんとに切るやつがあるか」と泣き叫ぶシーンは非常にシュールである。ドラえもんは「かんたんにくっつくのりがあるから」と平然としていたが、生身の人間を切断するという描写は、ブラックユーモアが効きすぎている。

 結局、電子頭脳をつけられた下半身は身軽さからあちこち遊びに行ってしまい、上半身だけののび太が下半身を必死に追いかけるというオチを迎える。ドラえもんの機転で事なきを得たが、もし下半身がどこかへ行ったまま戻ってこなかったらと思うと恐ろしい。その時はギャグでは済まされない、さらなる恐怖エピソードになっていただろう。

■自分の抜け殻を脱ぐ!? 不気味な「ダッピ灯」の恐怖

 続いて紹介するのは、コミックス第14巻に登場する「からだの皮をはぐ話」だ。

 ジャイアンから絵のモデルになることを強要され、くしゃみをしただけで怒られる理不尽な状況に陥ったのび太。そんな彼を助けるためにドラえもんが出したのが、「ダッピ灯」だ。

 この道具の光を浴びると古い皮の下に新しい皮ができ、まるでヘビが脱皮するように古いほうを脱ぐことができるのだ。のび太は脱ぎ捨てた自分の抜け殻をモデルの身代わりにして、ジャイアンの元から逃げ出すのである。

 その後、ひと悶着あり、スネ夫を追いかけることになったジャイアン。それぞれが「ダッピ灯」を使って自身の抜け殻を身代わりにする。しかし、皮は裸の状態であるため、絵の具で服を描いてごまかしていた。

 物語の最後は、雨で絵の具が流れ落ち、裸の抜け殻たちがあらわになって、それを見た女子たちが悲鳴をあげるという結末を迎える。

 本作は、人間の抜け殻ができあがる気味の悪さに加え、激怒したジャイアンが「おれがこの手で皮をはいでやる」と叫ぶセリフも、道具の恐ろしさを際立たせている。「ダッピ灯」は使い方によっては便利そうだが、同時に気持ち悪さも混在するホラーテイストの強い道具といえるだろう。

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