■ある意味で「人間臭さ」最強!? 1周回って愛おしくなる「蟹座のデスマスク」
『聖闘士星矢』が連載されていた当時、もっとも不人気な黄金聖闘士といえば巨蟹宮を守る蟹座(キャンサー)のデスマスクだったのかもしれない。
カニの足を模した鋭角的な聖衣を着こなし、不敵にニヤリと笑うその姿は、他の黄金聖闘士のイメージとは異なる完全な悪役であった。
さらに、自分が手にかけた者たちの顔(デスマスク)を巨蟹宮の壁や床に浮かび上がらせ、永遠の苦しみを与えるなど、極悪非道ぶりも際立っていた。連載当時、クラスメイトの1人が「俺は蟹座だから恥ずかしい」と言っていたのを思い出すほどである……。
しかし、“力こそ正義”という歪んだ信念を曲げず、ブレずに悪を貫いたその姿勢は、あらためて見ると不思議な魅力がある。
そして「積尸気冥界波」という相手の魂を肉体から引き剥がし、強制的に冥界の入り口(黄泉比良坂)へと送り込む技は、黄金聖闘士の中でも最強クラスに恐ろしい必殺技に思える。
「マンモス憐れなヤツ!!」といった独特のセリフ回しなども相まって、完璧すぎる他の黄金聖闘士たちにはない「人間臭さ」こそがデスマスクの魅力である。
悪事を働きすぎた結果、「黄金十二宮編」では聖衣に見放され、ドラゴン紫龍の一撃によって散っている。一貫して悪役に徹したデスマスクは、1周回って愛おしいダークヒーローといえそうだ。
■冷静沈着な万能の男! 聖衣修復からテレポートまでこなす「牡羊座のムウ」
最後に紹介するのは、物語の序盤から星矢たちを陰ながら支え続けた牡羊座(アリエス)のムウだ。他の黄金戦士の多くが「黄金聖闘士編」で星矢たちの敵として登場したが、ムウだけは最初から星矢たちの味方といったイメージもあるだろう。
ムウの初登場は、青銅聖衣を修復してもらいに紫龍が彼のもとを訪れるシーンだ。聖衣の修復には紫龍の命が必要だと告げるムウに対し、紫龍は聖衣に自分の血を注ぎ、自らの命と引き換えにそれに応じる。そんな紫龍の想いに感動したムウは、気絶した紫龍の傷口を塞ぎ、しっかり青銅聖衣を修復。とにかく頼れる存在なのだ。
ムウは戦闘を好まない温和な性格に見えるが、「ハーデス十二宮編」では本気のバトルを展開している。目に見えない防御壁「クリスタルウォール」や、敵を光の彼方へ消し去る「スターライトエクスティンクション」など、その強力な技に驚いた読者もいたはず。さらに、念動力(サイコキネシス)やテレポーテーションの使い手であることも忘れてはならない。
常に冷静沈着で頼りになるうえ、戦闘でも類いまれな力を発揮するムウ。総合力という観点から見ると、彼こそが黄金聖闘士随一の存在なのかもしれない。
『聖闘士星矢』に登場する黄金聖闘士たちは、単なる強敵という枠にはおさまらないスケールを感じる。それぞれが個性的なビジュアル、圧倒的な強さ、そして独自の信念や人格を持っている魅力的なキャラクターたちだ。 あらためて作品を読み返してみると、彼らの生き様や人間味あふれる側面に気づかされることも多い。
これを機会にもう一度コミックスを開き、もっとも自分好みの黄金聖闘士は誰なのか、そして最強の存在は誰なのかを、各々の尺度で考えてみるのはいかがだろうか。
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