原点であるテレビアニメ『機動戦士ガンダム』の放送から早47年が経過し、いまだに新作が発表され続けているガンダムシリーズ。多くのファンを魅了してきた大きな理由のひとつに、多種多様なデザインを誇る豊富なモビルスーツ(MS)の存在が挙げられるだろう。
一見同じように見える機体であっても細かいバリエーションの違いがあり、それぞれ異なる設定があるのもメカ好きを魅了するポイントといえるかもしれない。
またそれとは逆に、メカデザイン的にはまったく別の機体ながら、設定上は同じ機体というケースも存在する。中には、よほどのガンダム好きでないと、パッと見で同一機体だと判断が難しい機体もあるのだ。
今回はそのような、ビジュアルは別機体なのに、実は同一機体というガンダムをピックアップ。なぜそのような機体が誕生したのかを振り返ってみたい。
※本記事には各作品の内容を含みます。
■最新映画でも大活躍したハサウェイ・ノアの搭乗機
2026年1月30日から劇場公開されている『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』の主人公機「Ξ(クスィー)ガンダム」。「ミノフスキー・フライト」を搭載し大気圏内を自由に飛行できるが、その分機体は大型だ。
作中では「ガンダムもどき」と呼ばれているように、ガンダムらしくないゴテゴテとしたボディが印象的。どこか怪獣のような不気味なシルエットにも見え、とても主人公機とは思えない雰囲気を醸していた。
この劇場版のΞガンダムは、原作小説時に森木靖泰氏がデザインした機体がベースになっている。どこか悪役風のフェイスなどが共通しながら、カトキハジメ氏によってリファインされていた。
そして原作小説や劇場アニメとは見た目の異なるΞガンダムが、2000年に発売された人気ゲーム『SDガンダム GジェネレーションF』(バンダイ)に登場している。これは小説の約10年後に発売されたゲームであり、デフォルメされながらも初めて動くΞガンダムを見て感動したファンもいたことだろう。
この「ジージェネ版」のΞガンダムは、小説版をデザインした森木靖秦氏がリファインしたもの。 小説や劇場版と大きく異なり、ヒロイックなトリコロールカラーと一般的なガンダムフェイスでまとめられている。
また劇場版のデザインにあった特徴的な胸部アンテナも「ジージェネ版」にはなく、怪獣的な印象が薄れている。
このようにデザイン的には大きく分けて「原作小説版」「ジージェネ版」「劇場アニメ版」の3タイプ(厳密に分けるともっとある)が存在するわけだが、そのどれもが「Ξガンダム」であることは間違いない。
■シリーズ屈指の人気ガンダムにも別のバージョンが!?
劇場版アニメ『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』のいわば前日譚にあたるのが、映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』だ。その中で主人公アムロ・レイの最後の搭乗機として登場したのが、いわずと知れた「νガンダム」。今年4月に発表された「全世界“ガンダム”総選挙2025」の全世界ランキングで1位に輝いた、圧倒的な人気機体である。
νガンダムといえば、特徴的な武装「フィン・ファンネル」を装備したアシンメトリーなデザインが印象的。シンプルな王道のガンダムの系譜ながら、唯一無二のデザインとなっている。
富野由悠季監督による「マントをつけたガンダム」などのオーダーが出されてコンペが行われ、最終的にメカデザイナーの出渕裕氏がまとめたデザインとして誕生したという。
しかし、この映画『逆襲のシャア』のνガンダムと同じ立ち位置でありながら、まったく異なるデザインで描かれていたのが、富野由悠季監督の小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』(KADOKAWA)の挿絵に登場したνガンダムだ。
小説の表紙は劇場版のデザインでありながら、挿絵に描かれたνガンダムは特徴的な水玉模様のシールドをもち、背部にはプロペラントタンクらしきものがあった。小説版はパラレルワールドという扱いであることから、2つのデザインのνガンダムが存在したのである。
なお、この小説版のνガンダムは、「CCA-MSV(逆襲のシャア モビルスーツバリエーション)」にてそのデザインを活かし、νガンダムの発展機「Hi-νガンダム」として新たに設定された。ただしこのHi-νガンダムにもいくつかのデザインバリエーションがあり、完全に見分けるのはかなり難しいかもしれない。


