ガンダム作品には、それぞれの時代を代表する最新技術を盛り込んだ、高性能モビルスーツ(MS)が数多く登場する。特にガンダムの名を冠した主人公機にその傾向が強く、圧倒的な能力を発揮して大きな戦果を挙げていった。
しかし、中には最新技術ゆえに開発者も完全には御しきれず、時に欠陥と思えるような副次効果が発生する機体もあった。とはいえ、そんな機体に搭乗する主人公たちは、その欠陥と思しき効果すら戦闘時に有効活用し、切り札として用いる描写もある。
そこで今回は最新技術が採用された高性能機における、欠陥のように見えた現象と、それを戦闘で効果的に活用してみせたケースを振り返ってみたい。
※本記事には各作品の内容を含みます。
■「質量を持った残像」の真相とは?
劇場版『機動戦士ガンダムF91』の主人公機「F91」は、地球連邦軍の海軍戦略研究所、通称「サナリィ」が立ち上げた小型MS開発計画「フォーミュラ計画」の集大成ともいえるMSである。
F91に採用された新機軸の技術は多岐にわたるが、劇中でもっとも視聴者を驚かせたのが、F91の最大稼働モード時に発生した「質量を持った残像」という現象ではないだろうか。
“鉄仮面”ことカロッゾ・ロナの乗る巨大MA「ラフレシア」との戦闘中、最大稼働モードに移行したF91は、まるで機体が分身したかのような素早い動きを披露。その時、カロッゾは「何機いるのだ、敵は」と、機体数を誤認するほど動揺していた。
それでもラフレシアのテンタクラーロッドの1本がF91を捉えたかに見えたが、それは実物ではなく、カロッゾは「質量を持った残像だというのか」とさらに衝撃を受けている。
これは開発時に意図された現象ではなく、F91に採用されたMCA(マルチプル・コンストラクション・アーマー)構造という新技術が副次的に引き起こした現象である。
構造材に電子回路などを鋳込んだMCA構造は、機体性能を大幅に向上させた。そこにF91に搭載されたバイオコンピューターがリミッターを解除し、最大稼働モードへと移行させた際にとてつもない性能を発揮。機体表面が高熱を帯びて、機体本来の冷却機構では冷却が追いつかなくなる。
そこで、F91の装甲表面に施された塗料や金属粒子を剥離させる「M.E.P.E.(MEtal Peel-off Effect)」、つまり金属剥離効果が発生。この剥離した金属片は、わずかとはいえ実際に質量を持っていたことから、ラフレシアのモニターやセンサーを誤認させ、カロッゾの「質量を持った残像」という表現に至ったのである。
微量とはいえ装甲を剥離して強制冷却するM.E.P.E.により、敵パイロットや敵機のセンサーを誤認させるという効果は、もちろん意図されたものではなかった。
■抵抗運動の象徴となった「危険な翼」
テレビアニメ『機動戦士Vガンダム』に登場したV2ガンダムは、世界支配を目論むザンスカール帝国に対抗するために結成された、レジスタンス組織「リガ・ミリティア」が誇る最新鋭機である。
その最大の特徴は「ミノフスキー・ドライブ」と呼ばれる最新鋭の推進装置を搭載していること。これは推進剤を必要とする従来の熱核反応炉とは異なり、推進剤を必要としない画期的なシステムだ。しかも理論上は亜高速まで加速可能という、とてつもない大推力を実現した。
だが、V2ガンダムに搭載されたミノフスキー・ドライブは未完成であり、余剰エネルギーが強制的に放出されるという欠陥が存在した。
稼働時、機体背面から放出された大量の余剰エネルギーは、強力な“光の刃”と化す。それが「光の翼」と呼ばれる現象だ。これは、いわば巨大なビームが常時放たれているのと同義であり、僚機に対するフレンドリーファイアの危険性をはらんでいた。
だが、V2ガンダムのパイロットであるウッソ・エヴィンは、卓越した操縦技術によって、この欠陥ともいえる光の翼を最大限に活用。時には敵機を斬る剣、時には味方を守る盾として用い、リガ・ミリティアを勝利へと導いたのである。


