■もう1人のヒロイン? 番外編で描かれた薫子の存在

 本編は夢実が海外へ旅立つところで結末を迎えたが、その後の「番外編」で活躍を見せたのが、夢実の恋のライバル・薫子である。彼女は、持ち前の財力に物を言わせて森夜に積極的にアプローチする、わがままなお嬢様だ。

 連載当時、薫子のことを夢実と森夜の仲を引き裂こうとする“嫌なライバル”と見ていた読者も少なくなかっただろう。しかし彼女は、素直になれずに心にもないことを言ってしまう不器用さや、森夜への想いに一途で健気な一面も持っている。

 本作の番外編である「今夜だけヒロイン」や「お嬢さまのパーティー教室」では、森夜を想うあまり過激な行動をとってしまう彼女の葛藤が描かれており、本編とは異なる新たな魅力が楽しめる。

 ちなみに本作にはクセの強い個性的なキャラクターが数多く登場するが、その中でも強烈なインパクトを残したのが、薫子のもとで働く黒執事・黒川春明である。

 一見するとまじめな中年執事なのだが、口を開けば下ネタを連発。また、薫子が森夜と良い雰囲気になりかけた矢先、その森夜が実は黒川の変装だったことが判明するなど、物語の重要な局面で流れを破壊するキャラとして存在感を放ち続けた。

 そんな黒川に激しくお仕置きをする薫子の様子もコミカルで面白く、この2人は隠れたヒロインと名物キャラとして本作を大いに盛り上げたのである。

 

 『ルナティック雑技団』は爆笑ギャグの連続でありながら、恋愛模様やキャラクターの成長、そして「自立」というシリアスなテーマも含まれた奥深い作品である。単なるハッピーエンドで終わらせるのではなく、主人公が愛する人と別れて自分の道を歩み出すという結末は、大人になった今だからこそ、より深く刺さるものがある。

 『ルナティック雑技団』をまだ未読の方も、かつて愛読していた方も、ぜひこの機会に唯一無二の「あーみんワールド」の世界を堪能してみてはいかがだろうか。

 

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