■ヨーロッパ中世スポーツの起源!? 過激すぎる球技「羅惧美偉」

 民明書房にだまされたエピソードとして頻繁に語られるのが、スポーツの「ラグビー」の由来であると解説された「羅惧美偉(らぐびい)」である。

 男塾名物「愕怨祭(がくえんさい)」にて、関東豪学連の連中に乗り込まれた桃太郎たち。混乱を避けるために鬼ヒゲたちが提案したのが、羅惧美偉だった。

 ルールは、試合前に劇薬である塩酸バリトニウムを飲み、解毒剤が入った金庫を開けるための鍵を鋼鉄製のボールを使って奪い合うというもの。乱闘や武器の使用まで許可されており、もはやスポーツとはいえない単なるデスマッチだ。そして、民明書房刊「ヨーロッパ中世スポーツの起源」によれば、このデスマッチが現在のラグビーの起源となったと説明されている。

 普通に考えればとんでもない危険なバトルであって、“あの”ラグビーの起源であるはずはない。しかし「チームを強くするためにそのような残虐な練習方法が中世ヨーロッパで行われていたのだ」と解説されると、子どもの脳はその知識をスポンジのように吸収してしまうのである。

■ 酢が入った大瓶の中で生活し体を柔らかくする「晏逅寺軟體拳」

 最後は、人間の肉体の限界を突破したともいえる奇拳「晏逅寺軟體拳(あんこうじなんたいけん)」を紹介したい。

 天挑五輪大武會にて、王家の谷の守護者である石壺(クヌム)のネスコンスは、いきなり小さな壺に入った状態で登場し、その軟体を披露。飛燕が攻撃しても、体をぐにゃりと曲げてダメージを受けなかった。

 民明書房刊「世界の怪拳・奇拳」によれば、ネスコンスの体は「この世に生を受けた時から酢を満たした大瓶の中で生活・成長することで超柔軟な体質を作り出してきた」という。想像するだけでもとんでもないが……まさに常軌を逸した修行により、ネスコンスはこの特異な能力を会得したのである。

 思えば『男塾』の連載当時、軟体を生かしたパフォーマンスでも知られる中国雑技団が人気を博していた。あまりの超技の数々に、「彼らはお酢を飲んで体を柔らかくしている」という噂までまことしやかにささやかれるほどであったが、この民明書房の解説もその噂から着想を得たものかもしれない。

 柔軟な体以外の強さをどうやって身につけたのかは謎のままだが、晏逅寺軟體拳のもっともらしい解説が与えたインパクトは絶大であった。

 

 民明書房の解説文は、ただの“ハッタリ”や“ウソ”ではない。そこに具体的な年号、実在しそうな人名、ありそうなエピソードなどを巧みに織り交ぜることで、当時の昭和キッズたちを本気で信じ込ませるだけの力があったのだ。

 連載当時、図書館や書店で民明書房の本を探し回ったという笑い話は、今なおファンの間で語り草となっている。読者の知的好奇心を刺激し続けた『魁!!男塾』。DVD BOOKの発売を機に、再び民明書房の解説を読み返してみるのも面白いだろう。

 

■奇想天外な「民明書房」も登場…Kindleで『魁!!男塾』をチェック

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