【実写化作品「人気俳優の不気味キャラ」4】松坂桃李が実写化作品で魅せた「ダークヒーロー」、色香ただよう「妖艶な表情」にゾクゾクッの画像
松坂桃李  写真/ふたまん+編集部

 漫画やアニメ、小説の世界には、薄気味悪い空気をまとったキャラクターがたびたび登場する。見た目はごく普通でありながら異常性を秘めていたり、感情の一部が欠落していたりと、その内面には背筋が凍るような危うさが潜んでいる。だが同時に、その底知れなさやミステリアスな魅力こそが、読者の目を強く引きつけてやまない。

 実写化作品においては、俳優たちがそうした見えない恐ろしさをいかに体現できるかが重要になる。原作の不気味さや違和感にリアリティを与えられるか否かは、作品の完成度を大きく左右する要素だ。

 今回は、そんな難役に挑み、普段のイメージを覆す異様な演技で強烈な印象を残した俳優たちを、5回にわたって振り返っていく。

(第4回/全5回)

※本記事には作品の内容を含みます

■怪しい色気をまとうダークヒーロー『不能犯』松坂桃李

 原作:宮月新さんと作画:神崎裕也さんのタッグによって生み出され、2013年から2020年にかけて『グランドジャンプ』で連載されていた『不能犯』。“マインドコントロール”や思い込みの力を駆使して人を殺すという異質な手口で暗躍する、殺し屋・宇相吹正を描いたサイコサスペンスだ。

 SNSでは、とある電話ボックスに殺人依頼を書いて貼っておくと、「電話ボックスの男」と呼ばれる宇相吹が現れ、標的を確実に葬ってくれるという都市伝説めいた噂が広まっていた。実際にあちこちで不可解な事件が相次ぐものの、直接手を下していないため犯行は立証不可能。警察は彼を「不能犯」と呼び、決定的な証拠を掴めずにいた。そんな中、宇相吹の洗脳が唯一通用しない刑事・多田が現れ、危険な攻防戦が繰り広げられていく。

 そんなミステリアスな香りを漂わせる本作が実写映画化されたのは、2018年のことだった。監督は、『ノロイ』などで知られる白石晃士さん。ストーリーラインは基本的に原作を踏襲しつつ、ホラー映画の監督ならではの演出によってダークな空気が一層濃度を増し、不穏な雰囲気が際立つ仕上がりとなっている。

 本作で、主人公である不気味な殺し屋・宇相吹正を演じたのが松坂桃李さんだ。原作同様に真っ黒なスーツに身を包み、相手をマインドコントロールにかける際に目を赤く光らせる姿は、思わずゾクッとさせられる妖しさと格好良さである。

 さらに、宇相吹のトレードマークでもあるニヤリと笑う不気味な表情からは、普段の松坂さんの好青年で優しそうなイメージとは180度かけ離れた、底知れない薄気味悪さが滲み出ている。

 ちなみにこの“ニヤリ顔”には相当こだわり、「人生でここまで口角をあげたことはない」と語るほど徹底して作り込んだそうだ。その成果もあってか、あの表情を見ているだけで逃げ場のない恐怖に囚われるような感覚に陥ってしまうから不思議だ。

 また、原作では依頼人に同情したり冗談を口にしたりと、人間味やユーモラスな一面ものぞかせていたが、実写版ではそうした要素が全体的に削ぎ落とされていた。その分、純度の高い異常性が際立っているのが印象的である。

 “視線だけで人をコントロールする”という設定に説得力を持たせようとすると、一歩間違えればくどい演技にもなりかねない。にもかかわらず、底知れぬ不気味さと温度のなさ、そして色気のバランスが成立しているのは、松坂さんの演技力と表現力があるからこそだろう。

 宇相吹を通じて命を落としていく人々を見ていると、誰かを殺めたいと願ってしまう人間の業の深さと、そのやりきれなさが浮かび上がってくる。「人を呪わば穴二つ」という言葉がふと頭をよぎるような、救いのなさがあるのだ。その重さを感じさせる松坂さんの演技は見事というほかない。

 

 人の心を操り死に追いやる不気味な悪役を、見事な演技力で表現し切った松坂桃李さん。爽やかな役柄が多い彼にとって、本作での怪演はさらなるキャリアを築くための新たな土台となったといえるだろう。

 

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