高橋一生が実写化作品で魅せた「クセ者キャラ」、難しい役柄でも称賛を集めた「納得の再現度」の画像
高橋一生  写真/ふたまん+編集部

 現在、高橋一生さん主演のドラマ『リボーン ~最後のヒーロー~』(テレビ朝日系)が放送中だ。高橋さんは本作で“究極の二役”を演じており、その高い表現力で視聴者を楽しませている。

 1990年、9歳の時に映画『ほしをつぐもの』で子役デビューした高橋さん。その後、アニメ映画『耳をすませば』での声優経験や、ミュージカル『レ・ミゼラブル』への出演など活動の幅を広げ、精力的にキャリアを積み重ねてきた。

 2015年には、池井戸潤さんの小説を原作とするドラマ『民王』で、辛口な公設第一秘書・貝原茂平を演じたことをきっかけにブレイク。以来、どんな役でもこなす実力派俳優として、確固たる地位を築き上げた。

 これまで数多くの漫画原作作品にも出演してきた高橋さんだが、とりわけ印象的なのは、一筋縄ではいかない個性的なキャラクターたちを、現実に引き寄せてしまう表現力の高さだ。今回は、そんな高橋さんが体現してきた“クセ者たち”に焦点を当て、その魅力を振り返っていく。

※本記事には各作品の内容を含みます

■シリーズ化するほど大人気『岸辺露伴は動かない』

 『岸辺露伴は動かない』は、荒木飛呂彦さんによる大人気漫画『ジョジョの奇妙な冒険』第4部「ダイヤモンドは砕けない」の登場人物・岸辺露伴を主人公としたスピンオフ作品だ。1997年に『週刊少年ジャンプ』に初掲載されると、後にシリーズ化され、単行本の販売やアニメ化に至るほどの人気を博した。

 漫画家・岸辺露伴が遭遇する奇妙な出来事の数々を描いた短編シリーズで、独特な世界観と不思議な余韻が特徴である。この作品が、高橋さん出演で実写ドラマ化されたのは2020年のことだった。

 露伴は、自身の描く漫画に全てを捧げている男だ。人付き合いは苦手で負けず嫌い、そのうえ作品のリアリティを追求するためには一切の妥協を許さない、極めて強い自我を持っている。加えて、執念ともいえる探究心のためならば、危険な状況にも躊躇なく踏み込んでいく。

 高橋さんは、漫画ならではのクセの強いこのキャラクターを、生身の人間として見事に演じ切った。神経質で気難しそうな表情や声色、好奇心に抗えず突き進む時の勢い、そして偏屈で面倒くさい雰囲気まで、細部にわたるこだわりの積み重ねによって、彼ならではの露伴像を構築。「再現度すごい」と視聴者から大絶賛された。

 『ジョジョ』特有の誇張されたビジュアルやスタンド能力をそのまま実写に落とし込むのは難しく、服装や髪型などビジュアル面では原作とは異なる部分も多い。しかし、だからこそ、高橋さんの一挙手一投足からにじみ出る“露伴らしさ”が際立っていたといえる。

 作中では、露伴がスタンド「ヘブンズ・ドアー」を使うシーンも描かれるが、高橋さんの演技は、漫画的な演出を過度に強調するものではない。むしろ、露伴の内面に宿るクセの強さや独特の所作など細かい部分にフォーカスすることで、「露伴が現実世界にいたらこんな感じだろう」という実在感を与えているのだ。

 高校時代からの露伴ファンだという高橋さんは、原作で描かれるコマとコマの間の“動きの連続性”の再現に力を入れたという。そうした役への深い理解や美学が、実写版・岸辺露伴を、数ある実写化作品の中でも際立った完成度を誇る存在として成立させているのである。

■6人目のB・J役に抜擢された『ブラック・ジャック』

 手塚治虫さんによる不朽の名作医療漫画『ブラック・ジャック』。1973年に『週刊少年チャンピオン』で連載が開始されて以降、重厚な人間ドラマと命の価値を問いかけるメッセージが高く評価され、今なお多くの読者に愛され続けている。

 無免許でありながら天才的な腕を持つ外科医ブラック・ジャックが、法外な報酬と引き換えにあらゆる命と向き合い続ける姿を描いた本作は、1977年の宍戸錠さん主演作を皮切りに、幾度となく実写化されてきた。

 そして2024年、テレビ朝日ドラマプレミアムとして6度目の実写ドラマが放送された。主演の高橋さんは、原作で描かれるブラック・ジャックの持つ孤高の雰囲気や揺るがない信念を的確に捉え、小さな表情の変化や視線の動きといった繊細な演技を巧みに織り交ぜながら、その複雑な人物像を現実世界に落とし込んだ。

 黒いコートに身を包み、トレードマークでもある顔の傷や左右で色の異なる髪色といった特徴的な外見も、実写ならではの絶妙なバランスで表現。原作のイメージを踏襲しながら過度な表現を抑えることで、現実の人物としても違和感の少ない外見に仕上げられていた。

 なお、本作の人物・衣装デザインを担当しているのは、『岸辺露伴は動かない』も手がけた人物デザイナー・柘植伊佐夫さん。卓越した手腕により、高橋さんの個性を活かしながらキャラクターの魅力を引き出すビジュアルが構築されていた。

 さらに、高橋さんが持つ静かに響く低音ボイスという魅力も、本作では効果的に活かされていた。視聴者の間では、アニメ版でブラック・ジャックの声を担当した名声優・大塚明夫さんの声質を想起させると評価する声も上がったほどだ。

 そこに抑制の効いた語り口が加わることで高橋さんの持ち味はいっそう際立ち、ブラック・ジャックというキャラクターの持つ孤高の人物像に深みを与えていた。その一方で、永尾柚乃さん演じる助手・ピノコとのやり取りは微笑ましく、人間味のあるあたたかな一面も完璧に再現されていた。

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