■怪しすぎる3人の登場人物

 15年前の両親殺害事件の時効が、公訴時効廃止のわずか2日前に成立してしまった絶望。犯人はもう捕まらない。罪に問われない。その事実を知った瞬間から、兄弟の日常は完全に狂い始める。

 ……と、簡単にあらすじを書き出しても「アルコール原液イッキ飲みしながら書いたんか?」としか思えないほどの重さとスピード感。

 それが恐ろしいまでのテンションで進んでいくのですが、ストーリーに導かれるように主演二人以外が「よく一つのドラマにこんなイカレた設定とキャラを集めたな」と関心するほどのキャスティングで、

 真の直属の上司・岸谷五朗
 兄弟を昔からよく知る町中華のオッサン・山中崇
 兄弟の父が生前働いていた工場の工場長・長江英和

 よくこんな「実は犯人でした」みたいなメンバーを集められたなと感心するほどの「あたおかサスペンスオールスターズ」が爆誕していた。もはや3択クイズと言って差し支えないだろう。いや「全員」が犯人という可能性もある。

 そして、一見兄弟の因縁となんの関係も無さそうな知らんひき逃げ事件ですら「実は息子の復讐を果たすため事故に見せかけた殺人だったのでは?」という疑惑が浮上する。その犯人役に抜擢されたのが近藤公園。あまりにも絶妙すぎるキャスティング。

 田鎖兄弟と同じ、理不尽に家族を奪われた。復讐を実行する人間と、実行すらできない人間、この対比こそ田鎖ブラザーズが描きたいものなのではないか、と思った。

 放送前のハードルが天まで登っていたこともあり、正直スロースタートと言わざるを得なかった前半から、衝撃の急展開を迎えた後半、これだから新井順子はやめられない。

 過去の事件と現在の事件がどう繋がっていくのか、繋がらないのか、そして「あたおかサスペンスオールスターズ」の中に犯人はいるのか、いないのか、震えて待ちたい。

■著者プロフィール
かんそう
ブロガー・ライター・作家。北海道の片隅で意味不明な文章を綴る長男。
著書に『書けないんじゃない、考えてないだけ。』『推すな、横に並んで歩け』がある。

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