近年、ますます増えてきた漫画やアニメの実写化作品。原作ファンが多いほど大きな話題を集める一方で、キャラクターの再現度やストーリーの改変をめぐって賛否が分かれやすいジャンルでもある。
漫画やアニメには、露出の多い奇抜な衣装や破天荒な行動が印象的なキャラクターも少なくない。そのため実写化にあたっては、演者がどこまで原作に寄り添い、身体を張った表現に挑むのかが問われることもしばしばだ。それでも俳優・女優たちは、キャラクターを現実世界に落とし込むべく試行錯誤を重ね、作品の世界観を見事に体現してきた。
中には、「ここまでやるの?」と驚かされるほど過激なシーンに挑み、強烈な印象を残した女優たちも存在する。そこで今回は、実写化作品の中で体当たりの演技を見せた女優たちを、5回にわたって振り返っていきたい。
(第1回/全5回)
※本記事には作品の内容を含みます
■体張りまくりな演技に衝撃を受けた『銀魂』橋本環奈さん
2003年から2019年まで『週刊少年ジャンプ』で連載されていた、空知英秋さんの『銀魂』。天人(あまんと)と呼ばれる宇宙人が襲来した江戸の街を舞台に、万事屋を営む銀さんこと坂田銀時、志村新八、神楽といった仲間たちが繰り広げるドタバタSFコメディである。
パロディや時事ネタを盛り込んだギャグが炸裂する一方で、人情や侍の信念を描くシリアスな長編では涙を誘う展開も多く、その振り幅の大きさが読者の心を掴んできた。
空知さんや集英社が実写化のオファーを断り続けてきたこともあり、映像化は困難だと言われた本作。しかし、福田雄一監督の名が挙がったことで企画が動き出し、2017年と2018年に実写劇場版が公開されている。
そしてこの実写版『銀魂』において強烈なインパクトを残したのが、神楽を演じた橋本環奈さんだ。橋本さんといえば、アイドル時代の2013年に撮影された「奇跡の一枚」の写真をきっかけに、その圧倒的なルックスで一躍ブレイクした女優である。
ドラマやバラエティでは“可愛い橋本環奈”として紹介される場面が多かったが、『銀魂』で彼女が見せたのは、そのイメージをいい意味で裏切る体当たりのギャグ演技だった。
神楽は最強の戦闘民族・夜兎族の生き残りで、外見こそ可愛らしいものの口も素行もとんでもなく悪く、銀さんですら手を焼く破天荒なヒロインだ。ゆえに実写でその言動を再現するには、相当な覚悟が求められる役柄でもある。
だが橋本さんは、端整な顔を一切ためらうことなく崩し、神楽の突き抜けた個性を全力で体現してみせた。変顔は言わずもがな、中でも印象的なのが鼻をほじる場面だ。原作の神楽は、愛くるしい外見とは裏腹に鼻をほじりつつ平然と人を煽る。橋本さんはそれを、白目をむいて鼻の下を伸ばしながら鼻をほじるという衝撃的なビジュアルで再現したのである。
あまりにも体を張ったこの演技に、ファンからは「ハシカンがとんでもない顔になってる」といった声が続出。その一方で、「凄い顔なのに可愛いからすごい」といった称賛の声も寄せられた。確かに、崩していても可愛いのは橋本さんだからこそかもしれない。
また、dTVオリジナルドラマ『銀魂2 -世にも奇妙な銀魂ちゃん-』でも、圧倒的な再現度で話題を集めたシーンがあった。それが、原作でも人気が高いエピソード「寝る子は育つ」である。なかなか寝付けない神楽が銀さんを巻き込んで安眠を求めるギャグ回で、クマのできた血走った目をした神楽がインパクト大だ。
橋本さんは原作同様、目の下に濃いクマを作り、目をギンギンに見開いて寝方を忘れた神楽を完全再現。普段の神楽とは程遠いローテンションなしゃべり方も相まって、まるでホラーのようだった。その完成度の高さには、「まんま神楽だ」という絶賛の声が相次いだ。
さらには、ゲロを吐いたり激しいしゃくれっぷりを披露したりと、あらゆるぶっ飛んだ言動で神楽を演じ切った橋本さん。可愛さを売りにするだけではなく、あえて崩すことで神楽の人物像を立体化させた点には、彼女の女優魂の強さが表れていたと言えるだろう。
“可愛い女優”というイメージを自ら壊し、新たな境地を開拓した橋本さん。原作へのリスペクトを持ち楽しんで演じたと当時を振り返っていたが、その振り切った姿勢こそが、彼女がコメディにおいても一級の表現者であることを印象づけている。
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