2026年1月30日に劇場公開された『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』は、2021年に公開された第1作目の興行収入を超える大ヒットを記録している。
富野由悠季氏の手がけた小説版『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』は、小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』の続編として展開されたが、アニメ映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』シリーズは、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の続編として製作。そのため『キルケーの魔女』の中には、小説版には出てこないメカや展開も存在している。
中でも話題になったのが、小説には登場しない「アリュゼウス」というMSの存在だろう。同機は『キルケーの魔女』の公式サイトでもすでに公開されており、機体のコアには「量産型νガンダム」が用いられていることが明かされている。その性能は『逆襲のシャア』に登場したνガンダムの約80%のスペックだという。
量産型νガンダムの設定自体はすでに存在していたものの、長らく映像化されてこなかった機体でもある。そこで今回は『キルケーの魔女』の公式サイトで分かる以上のネタバレはなしで、量産型νガンダムという機体を振り返ってみたい。
※本記事には各作品の内容を含みます。
■量産型νガンダム(RX-94)はいかにして生まれたのか
量産型νガンダムの型式番号は「RX-94」であり、宇宙世紀0094年に製造された試作量産機である。『マスターアーカイブ モビルスーツ RX-93 νガンダム』(SBクリエイト)の記述によれば、シャアの反乱で新生ネオ・ジオンの「ヤクト・ドーガ」などが地球連邦軍の主力量産機「ジェガン」を圧倒したこともあり、それに対抗するエースパイロット向けの高級量産機として開発が検討されたという。
大きな特徴としては、オリジナルのνガンダムを象徴する武装「フィン・ファンネル」を装備したニュータイプパイロット対応型と、非ニュータイプパイロットでも扱える有線式攻撃端末「インコム」装備型を選べる点が挙げられる。
さらにアムロ・レイのνガンダムに搭載されたサイコミュシステム「サイコフレーム」も試作された量産型νガンダムに搭載されており、あらゆる面でジェガンを凌駕する性能を誇る。
しかし量産型νガンダムの開発は、主に2つの理由で難航したことが分かっている。
1つは規格品を流用した量産機にしては生産コストが高くついたこと。もう1つは、サイコフレームまで搭載したエースパイロット向けの高級量産機でありながら、地球連邦軍内に、これをまともに扱えるニュータイプがほとんど存在しなかったことが挙げられる。
こうして量産型νガンダムの試作機は作られたものの、結局シャアの反乱は比較的早期に終息。量産計画は白紙になり、宇宙世紀0096年にはサイコフレームなしでνガンダムの90%の性能を持つといわれる高級量産機「ジェスタ」が開発。量産型νガンダムは次期主力機のテストベットとして転用されることになった。
前述の『マスターアーカイブ』によれば、量産型νガンダムは本来の非変形MSではなく、「ZZガンダム」や「S(スペリオル)ガンダム」のような大型可変機の開発に流用されたようで、プレミアムバンダイの「METAL ROBOT魂 量産型νガンダム」の紹介ページには、次世代可変MS「ペーネロペー」との関連も示唆されている。
そして劇場版『キルケーの魔女』では、ペーネロペーが配備されるまでの高速飛行の練習機として急遽建造された「アリュゼウス」のコアマシンとして量産型νガンダムが使用されたことが公式サイトでも明かされた。


