「なぜガンダムは盗まれてしまうのか」GP02A、ガンダムMk-II、Zガンダム…高性能機が奪われた「それぞれの理由」の画像
ガンプラ「HGUC 1/144 ガンダムGP02A サイサリス」(BANDAI SPIRITS) (C)創通エージェンシー・サンライズ

 『ガンダム』シリーズの中では、敵勢力のモビルスーツを奪取したり、破壊したりする作戦が描かれることもある。

 たとえばOVA『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』では、地球連邦軍が開発中だった最新鋭のガンダムを奪う作戦が描かれ、テレビアニメ『機動戦士ガンダムSEED』や、その続編の『SEED DESTINY』の第1話でも敵対勢力に新型ガンダムが奪取されていた。

 こうした「ガンダムの強奪」の流れは、いわばシリーズにおける“お約束”でもある。

 しかし、基本的にガンダムという機体の存在は軍の重要機密のはずだが、たびたび盗まれてしまうのはなぜなのか。印象的な理由が描かれていた強奪のケースについて振り返ってみたい。

※本記事には各作品の内容を含みます。

■ずさんな警備体制が仇に!? 荷物のチェックさえしていれば……

 OVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』の第1話のタイトルは、その名もズバリ「ガンダム強奪」。まさに今回のテーマにふさわしいタイトルといえる。

 一年戦争後に立案された地球連邦軍の再建計画の一環である「ガンダム開発計画」により開発された新型MSの1機が「ガンダム試作2号機(コードネーム:サイサリス)」。このサイサリスが連邦のトリントン基地より強奪されるところから物語が始まる。

 強奪を実行したのは、ジオン軍の残党であるアナベル・ガトー。彼は一年戦争時に「ソロモンの悪夢」の異名で呼ばれたエースパイロットであり、ジオンの英雄ともいえる存在である。

 そして奪われたサイサリスには、南極条約で禁じられている核弾頭が搭載されていたこともあって、連邦は窮地に立たされることになる。

 まさに軍の最高機密のかたまりであるサイサリスが、なぜ奪われてしまったのか。核搭載機を受領、管理する連邦基地やアルビオンのずさんな警備体制が大きな要因ではあるが、問題はそれだけではない。

 そもそもガンダムの開発元であるアナハイム・エレクトロニクス社からアルビオンに出向していた整備技師のニック・オービルが、デラーズ・フリートの送り込んだスパイだったのである。

 新型ガンダムの整備担当であるオービルの手引きが、ガトーの計画実行に大きく貢献したのは疑う余地はない。連邦の最高機密に触れることになる人物の身辺調査が甘すぎるといえばそのとおりだが、彼はアナハイムの社員として「ガンダム開発計画」にもしっかり携わっていたことが『機動戦士ガンダムU.C. ENGAGE』(バンダイナムコエンターテインメント)の中で描かれている。

 それが事実であるなら、アルビオン隊がオービルを受け入れてしまった事情もある程度理解でき、どちらかといえばスパイを重用していたアナハイム側の責任も大きいように思える。

 だからといってアルビオンや基地のザルな警備とチェック体制が許されるわけではない。車の荷台に布をかぶせただけの簡単な偽装にもかかわらず軍の兵士が確認を怠り、ガトーの侵入を許したのは大きな失態である。

 この時ガトーは「こうも呑気だとはな」と連邦軍の様子を評し、オービルは「連邦はどこもこうです」と返していた。つまり責任はアルビオンだけでなく、この頃の地球連邦軍全体に緩んだ空気がまん延していたこと自体が、サイサリスの強奪につながったという見方もできるだろう。

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