■まさかのラブストーリー!?『13』
続いては、『銀魂』コミックス第24巻に収録された『13』。本作は、凄腕の殺し屋女子高生とその同級生であるヤンキーの「命がけ」の青春ラブストーリーだ。ヒロインの名前は五流醐(ごるご)十三夜であり、タイトルと合わせて考えても、あの『ゴルゴ13』をもじっているのは明らかである。
十三夜は小学生時代、才色兼備すぎて周りから浮いた存在だった。そんな彼女に淡い想いを寄せていたクラスメイト・藤枝主水は、遠足のバスの中でどうにか皆の輪に引き入れようとする。しかし彼の行動は、十三夜がゲロを吐き、おまけに藤枝も“もらいゲロ”を彼女に浴びせてしまうという、最悪の結末を迎えることとなる。
ラブストーリーだというのに、開始早々ヒロインが嘔吐しモザイクが連発されるのは、さすが『銀魂』の作者である。
この仕打ちに対し、十三夜は「五流醐家の名にかけて 必ず お前を殺す」と宣言。すぐに引っ越していなくなってしまったが、数年後、すっかりグレてヤンキーになった藤枝の高校に転入してくる。
十三夜はかつての宣言通り、藤枝を殺そうと事あるごとに攻撃をしかけてきた。クナイを投げつけたり、バズーカでトイレの壁に穴を開けたり、学校内だというのにやることが大胆でシュール。殺し屋がテーマになっているにもかかわらず、重さはまったくない。
こんな調子で「ラブストーリー」になるのかと思われるかもしれないが、ちゃんと最後には甘酸っぱい恋愛要素が描かれるのだから驚きだ。十三夜の隠された秘密、それを知った藤枝がどう動くのか。2人の運命から目が離せない。
■パロディ要素盛りだくさん『ばんからさんが通る』
最後は、『銀魂』コミックス第38巻収録の『ばんからさんが通る』を紹介したい。この作品は、体の一部を機械化することが当たり前となった時代を舞台にした、近未来学園ものだ。
登場キャラの名前は剛田猛や宮本静など、どこかで聞いたことのある名前ばかり……。ストーリーとしては、150年の封印から解き放たれた伝説の番長・剛田猛が、学校の支配者・滑川常雄を倒すという内容になっている。
本作の見どころは、なんといっても最後までギャグ色が強いところだろう。一応シリアスっぽい空気になる瞬間もあるのだが、基本的にはギャグに振り切っており、パロディも非常に多い。
体育教師の白馬先生は魔改造されていて「ホワイトベース」と呼ばれ、滑川は全身9割機械、学校9割支配という実績から「寸止め番長」と呼ばれるなど空知節が炸裂。しかも旧世代の不良の「証」として、なぜか「おニャン子クラブ」のメンバーの名前を彫ってるのもシュールだ。
またいわゆるサイボーグが多数登場することもあって、派手で大規模なバトルが繰り広げられるのも見どころの1つ。特に終盤、猛の清々しいほどの暴れっぷりには、スカッとさせられる。
空知氏の読み切り作品は、設定や展開がハチャメチャなものが多く、独特の魅力がある。先の展開を読むことはまず不可能なので、最後までどうなるか分からないワクワク感があって引き込まれてしまうのだ。
アニメ『だんでらいおん』の配信を機に、これらの過去作をあらためて読み返してみてはいかがだろうか。


