■得体のしれない世界観で料理を楽しむ『もと子ちゃんのワンダーキッチン』

 料理をモチーフにしたゲームは多々ありますが、実際のレシピとして使えるものはそう多くありません。そんな珍しい料理ゲームの1つが、日本が誇る食品企業「味の素」と任天堂の共同開発で生まれた『もと子ちゃんのワンダーキッチン』です。このソフトは一般販売されておらず、懸賞の賞品として配布されたソフトでした。

 本作のジャンルは料理シミュレーション。主人公のもと子ちゃんがキッチンで見つけたレシピをもとに、童話のようなファンタジーの世界を冒険して食材を集め、シミュレーションパートで料理を完成させるのが目的です。

 ただし、食材を集める冒険パートはなかなかにカオス。たとえば「トマトカップのサラダグラタン」の食材は「トマト」「キャベツ」「スイートコーン」「サーモン」「しいたけ」の5種類。キャベツは海賊船の大砲から発射されたものをゲットし、スイートコーンは海賊船のパラソルが変化したものを集め、しいたけは海でクラゲと一緒に泳いでいるのを捕まえることになります。作れる料理は3種類ありますが、どの食材もメルヘンチックかつ意味不明な方法で集めていくのです。

 そして食材が集まったら料理パートになりますが、包丁で食材を切ったり、フライパンで炒めたりする音が妙にリアル。そんなクオリティの高い料理シーンでは、もちろん「味の素マヨネーズ」を使うことになり宣伝にも余念がありません。

 懸賞の賞品なので難易度は低めに設定され、当然のことながら奥の深いゲームというわけでもありませんが、怪作と呼ぶべき意味不明な世界観と、思った以上に美しいグラフィックが忘れられません。


 スーパーファミコン時代の怪作と呼ばれるゲームソフトは、今見ても尖ったセンスが感じられるものばかりです。なぜかそういうソフトは、現在では非常に高額で取引されていることが多いのですが、もしもどこかで巡り合えた時は、その独特の世界に触れてみてはいかがでしょうか。

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