■俊足を生かした攻守の要! 男気あふれる『ダイヤのA』倉持洋一

 最後は、寺嶋裕二さんの『ダイヤのA』から、高校野球の名門・青道高校野球部に所属する倉持洋一を挙げたい。

 倉持は主人公・沢村栄純たちの1学年先輩にあたり、2年生ながら名門チームのショートを守り、スタメンでトップバッターを務める選手だ。

 彼の素晴らしいところは、俊足を生かした走塁技術と守備範囲の広さである。見た目はヤンキーのようでやんちゃな言動も目立つが、誰よりもチームを思う熱い気持ちを秘めている。その男気あふれるプレーを象徴するのが、2年生時の夏の予選大会決勝、稲城実業高校戦での一幕だ。

 エース・成宮鳴の前に2点ビハインドで迎えた8回表、1アウト1・3塁のチャンスで倉持に打席が回ってくる。相手バッテリーにスクイズを読まれて大きく外されるが、倉持は驚異的な反応を見せ、右手一本でバットに当ててかろうじてファウルにした。このプレーだけでも彼の卓越した身体能力の高さがうかがえる。

 続く投球で、スリーバントスクイズに挑んだ倉持。これに対し成宮は、とっさに外角低めに大きく外すボールを投げる。絶体絶命の中、倉持の脳裏には負傷をおして出場し続けた先輩・小湊亮介の姿がよぎる。「ウチの後輩は頼もしい奴らが多いですから」という期待の声を胸に、倉持は執念でボールに食らいつき、見事スリーバントスクイズを成功させたのである。

 3年生になると倉持は左打者に専念し、打撃にさらなる磨きをかけていく。新チームでは副キャプテンを務め、チームをけん引する存在へと成長した。

 夏の予選3回戦では由良総合工科高校と対戦し、立ち上がりから失点を重ねて動揺するエース・沢村を助けるファインプレーを披露。守備でチームに落ち着きを取り戻させた。

 さらに、その裏の打席では、「沢村… 何点ありゃ落ち着ける…?」「俺達が盛り上げてやるからよぉ お前らしく投げろ」と心の中でエース・沢村に問いかけ、自ら右中間を抜ける鋭い打球を放ち、減速することなく一気に3塁まで駆け抜けた。

 攻守にわたってエースを支え、俊足好打でチャンスを広げる倉持は、まさにチームの起爆剤だ。最強のリードオフマンとして申し分ない選手といえるだろう。

 

 今回紹介した選手たちのように、野球漫画においてリードオフマンは物語に欠かせない重要な役割を担っている。例えば木根は、ケガで欠場した試合でも、監督が彼の似顔絵を用意してチームの士気を高めるなど、その存在自体が起爆剤となっていた。

 現実の高校野球でも、試合の流れを大きく左右するリードオフマンの活躍から目が離せない。間もなく開幕する選抜高校野球でも、彼らのプレーに注目してみてはいかがだろうか。

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