■羌瘣の動きを読んでいた? 罠に誘導して崖下に転落させた趙軍「劉冬」

 「黒羊丘の戦い」で、飛信隊は趙国の紀彗軍と対峙する。この戦いで斥候の任に就いていた羌瘣だったが、紀彗軍の副将・劉冬の策略により、飛信隊は戦術的に重要な丘を奪われてしまう。

 その結果、わずかな部下を連れて斥侯に出ていた羌瘣は敵陣の奥深くに侵入してしまい、完全に孤立状態に陥る。だが、趙軍の背後に回っていたため、この状況を逆手に取った羌瘣は、敵将の首を討つべく夜間に趙軍の陣に単身潜入した。

 彼女が向かった先は劉冬の寝所であった。見張り台で椅子に座って偶像を拝んでいた劉冬は、羌瘣の突然の襲来にも冷静であり、話しかける余裕さえ見せる。そして、かがり火を剣で落とし、自身の危機を周囲に知らせた。

 剣を抜いた劉冬に対し、羌瘣は一気に間合いを詰めようとする。だが、通路には夜の闇に紛れて見えにくい糸が張られていた。危うく首を切りそうになるところを寸前で回避したものの、すぐさま劉冬の一撃が彼女の胸を斬り裂く。

 劉冬は羌瘣が罠をかわす瞬間を狙うため、あえて座りながら話しかけて油断を誘い、自分の態勢を整えていたのだろう。羌瘣の動きを完全に読み、罠に誘導するまでの手際は、まさに策士そのものだ。

 劉冬の第二撃には羌瘣も体を反転して斬り返すが、その反動で板壁を突き破り、外へと飛び出してしまう。それでも追撃を仕掛ける劉冬に応戦するも足場を失い、そのまま崖下へと落下。

 斬られた傷と落下したダメージで深手を負った羌瘣は、麓にある村へたどり着いたところで力尽き、意識を失った。

 態勢を崩していたとはいえ、あの羌瘣が二度も傷を負うほど斬りつけられた。これは、劉冬の剣術が相当優れていたことを証明している。

 武神や蚩尤といった人智を超えた個の強さではなく、一人の武将として羌瘣を窮地に追い込んだのは今のところ劉冬だけである。

 

 無類の強さを誇る羌瘣だが、ここで紹介した強敵たちは、彼女をまさに窮地に追い込んだ猛者ばかりだ。ストーリーが進むに連れて羌瘣も出世していくため、個人の武勇だけでなく、騎乗して軍を率いる場面が多くなっていく。個人技を見せる場面が少なくなっていくだけに、彼らのような存在は強烈に印象に残っている。

 今後も飛信隊に立ちはだかるさまざまな強敵たちの登場を楽しみにしたい。

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