■美女ミザリィが誘う“異界”の物語『アウターゾーン』
最後は『少年ジャンプ』にホラーやミステリーというジャンルを本格的に持ち込んだ画期的な作品、光原伸氏による『アウターゾーン』である。
1話完結のオムニバス形式で描かれる本作は、古くは海外作品の『トワイライト・ゾーン』(1959年〜1964年)や『ヒッチコック劇場』(1955年〜1965年)、日本の人気ドラマ『世にも奇妙な物語』(1990年〜)のように、読者を“日常のすぐ隣にある非日常”、すなわち「異界」へと誘う物語だ。
その案内人を務めるのが、謎めいた美女・ミザリィである。彼女は時に物語の冷徹な傍観者であり、時に襲い来るモンスターを軽くひねるほどの戦闘能力を見せる。そのミステリアスな美しさと、ふとした瞬間に見せる愛らしさのギャップに、幼き筆者も含め魅了された読者は多いはずだ。
彼女が導く「アウターゾーン」には、人間の肥大化した欲望や深層心理が生み出す奇妙な出来事が待ち受けている。グロテスクなクリーチャーや救いのないバッドエンドなど、少年誌としては異質の大胆な展開も少なくない。その一方、人間の善意や無償の愛をテーマにした心温まるエピソードもあり、恐怖と皮肉、そして人間ドラマが交差する独特の作風が多くの読者を惹きつけた。
連載は1991年にスタートし、一度の終了を挟んで1994年まで続く長期シリーズとなった。その根強い人気から、2011年からは続編『アウターゾーン リ:ビジテッド』も発表されるなど、ジャンプ黄金期を代表する異色作として多くのファンに語り継がれている。
ジャンプ黄金期には、「友情・努力・勝利」を象徴する王道のヒット作が並ぶ一方で、こうした異色作も同じ誌面に存在していた。それもまた、当時の『週刊少年ジャンプ』の懐の深さであり、圧倒的な人気を誇った理由の一端だろう。
残酷さや恐怖、人間の闇といったテーマを描きながらも、読者に忘れがたい印象を残したこれらの作品は、ジャンプ黄金期を語るうえで欠かせない“もうひとつの名作”と呼ぶにふさわしい存在なのである。


