■「どれだけ課金したか」が価値になってしまう時代
――お忙しい毎日だと思うんですけど、作品にはどういう形で触れていますか?
生駒 特撮に関してはTTFC(東映特撮ファンクラブ)という配信サービスがあるので、それで見ています。今は時間がなくても配信に課金すれば見られるので良い時代になりましたよね(笑)。昔はその週のアニメを全部録画して家で観なきゃいけなかったけど、今は配信される時代になったから、オタクのやり方も変わったと思います。
でも、最近ちょっと思っているのが、今ってどれぐらい課金するか、どれだけグッズを買うか、がどんどん価値を持っちゃっていますよね。これぐらい推しているから価値があるという、何かと比較する時代になっちゃったのが嫌だなって感じています。好きなものは、自分の好きな範疇で楽しみたいんです。好きな作品を口にすると、SNSでいろいろ追及される時代になっちゃったので……。
――確かにSNSでのリアクションはいろいろありそうですね。
生駒 自分の「好き」でいたいけど、「その知識どれくらいなの?」みたいなことが問われちゃう。「技の名前すぐ出せるの?」みたいな。私は技の名前とかは言えないタイプなので、「なんだよ言えないじゃん、好きじゃないんじゃん」って言われてしまう。だから、好きな作品を公言するのはやめよう、って思うようになったんです。
言えなくなった時代、たぶんそういう転換期がきたのが、10年ぐらい前からなんですよね。世の中にSNSが普及して、オタクしている自分がカッコいいみたいにシフトチェンジしたじゃないですか。あんなに昔はボカロ好きって言ったら叩かれていたのに、今や「ハチさん」って言われなくなった米津玄師さんが紅白に出る時代になった。「あー、ニコ動のあの頃、知らないでしょ?」みたいな……。自分も古(いにしえ)のオタクになったなぁって、思います(笑)。
――では、生駒さんにとっての理想のオタライフ、こうありたいというのはありますか?
生駒 好きなものを好きな人と好きなところを語り合う。好きな人同士で会ったり、オフ会で喋って「そうだよね」というのが楽しい時代だったので、そういうのがホントは理想だなって思っちゃいます。
2次元でも3次元でも、ちょっとでも自分の道義に合わないやつがいたら叩く、というような時代になっちゃって、オタクがやりづらくなったなって。好きなものは内に秘めて、聞かれたら言える範囲では答えるけど、わざわざ自分から「これが好き」と発信するのはなくなっちゃったかもしれません。もちろん“ナルロス”が大きかったというのもあるんですけどね。
――やはりそこに帰結するわけですね。
生駒 本当に自分の人生にぽっかり穴が開いてしまったんですよね。『NARUTO-ナルト-』ってすごいおもしろかったんだなと改めて思います。逆に言うと、『NARUTO-ナルト-』が連載している時代に生きることができてよかったなってすごく思うし、心から感謝しています。
<プロフィール>
生駒里奈(いこま・りな)
1995年12月29日生まれ、秋田県出身。乃木坂46ではデビューシングルから5作連続でセンターを務め、2018年に同グループを卒業後、俳優業を中心に近年では、舞台『家政夫のミタゾノ THE STAGE レ・ミゼラ風呂』(25年)、水谷千重子50周年記念公演「CAKUGO 愛と憎しみと追憶と沈黙のミス・フローレンス』(25年)など話題作に出演し、注目を集めている。舞台「どろんぱ」でミュージカルに初挑戦する。
【作品情報】
MOJOプロジェクト -Musicals of Japan Origin project- 第2弾 ミュージカル『どろんぱ』
supported by にしたんクリニック
作・演出:末満健一
作詞:森雪之丞
作曲・編曲・音楽監督:深澤恵梨香
ゲストコンポーザー:和田唱
出演 小池徹平 屋比久知奈
生駒里奈 木内健人 東島京 加治将樹 土井ケイト 相葉裕樹
吉野圭吾 真琴つばさ ほか
公演
東京公演: 2026年3月16日(月)~29日(日) 日本青年館ホール
大阪公演: 2026年4月3日(金)~7日(火) SkyシアターMBS
公式サイト https://mojo-doronpa.com/


