ミステリードラマといえば、“ワトソン役”は欠かせない。その名の通り、あのシャーロック・ホームズにとってのジョン・H・ワトスンのように、主人公を支える相棒のことを指し、“もう1人の主人公”ともいえる存在だ。2人が助け合い、時にはぶつかり合いながら絆を深めていく過程も、作品の見どころの1つである。
単にワトソン役といっても師弟のようだったり、対等な関係のバディであったりと、さまざまな関係性があるのも面白い。そこで今回は、数あるミステリードラマの中から、筆者が特に魅力的だと思うワトソン役をピックアップしてみたい。
※本記事には各作品の内容を含みます
■尊敬と信頼でつながる師弟型
まず紹介したいのは、探偵と師弟関係のような関係で結ばれているワトソン役だ。最もわかりやすいのは、『相棒』シリーズ(テレビ朝日系)の亀山薫だろう。彼は当初、とある事件で犯した大失態を理由に、「人材の墓場」と呼ばれる特命係に左遷されてきた。
そこで警視庁きっての変わり者である杉下右京に出会い、彼の人生は大きく変わった。最初こそ対立したり、薫が右京の言動に激怒したりしていたが、やがて2人は心から信頼し合う“相棒”となっていく。
今では薫は右京を非常に尊敬しており、その絶対的な信頼が揺らぐことはない。season7にて、薫の退職をきっかけに一度はコンビ解消した2人だが、season21での薫の帰還を経て再び相棒となった。復活後も彼らの絆の強さは健在である。
その関係性が特に伝わってくるのが、season23の初回エピソード「警察官A~要人暗殺の罠!姿なき首謀者」だ。
このエピソードで、犯人によって地下室に閉じ込められた薫と若手警察官の高田創。有害なガスが充満していく中、創は焦りを見せる。しかし、対する薫は「右京さんなら、きっと見つけてくれる」と右京への絶対的な信頼を見せた。「俺は、杉下右京って人を知ってる」と力強く語り、実際に右京はその信頼にこたえるように、わずかな手がかりから薫たちの場所までたどり着いた。
「俺が正義を学んだのは……右京さんからです」と語る薫と、「君がいつもそばにいてくれて助かりますよ」とその人間性を賞賛する右京。杉下右京にとっての亀山薫は、まさに数あるミステリードラマシリーズの中でも、“最高のワトソン役”の1人といえるだろう。
また、『嘘解きレトリック』(フジテレビ系)の祝左右馬と浦部鹿乃子も、師弟関係の要素が強い2人だといえる。“人の嘘を聞き分ける”能力を持つ鹿乃子は、その特異性ゆえに人との関係をうまく築けずにいた。
しかし、名探偵・左右馬はその能力を気味悪がるどころか、事件解決に役立つものとして重宝する。それは鹿乃子が自分の能力と折り合いをつけていくきっかけとなった。彼女にとって、左右馬はいわば“人生を変えてくれた恩人”である。
第6話では、左右馬が鹿乃子に「嘘がわかる君に見えないものがあるんなら、嘘がわからない僕にはそれが見えるんじゃない?」「だから一緒にいればいいんだよ」と伝える名場面があった。この言葉は鹿乃子だけでなく、左右馬にとっても彼女がかけがえのない存在であることを物語っている。放送当時は、SNSで「胸キュンが止まらない」といったコメントが相次いだ。
論理的思考以外はめちゃくちゃな行動も多い左右馬だが、そこは善良な人間である鹿乃子がサポートする。そうやってお互いを補っているところがまた良い。事件捜査の場だけでなく、実生活においても最高のパートナーである。


