■「昭和感」がエンタメを面白くする
――本作は、監督の武器のひとつであるアクションシーンはもちろん、会話シーンに覗くユーモアにも、監督らしさを感じます。
品川監督 脚本は服部隆さんと作っていきました。会話に関しては、もちろん原作にあるセリフもありますが、ほんの1行足したり、語尾を変えたりしているんですね。それによって、僕らしさが出ていると思います。韻を踏ませたり、文字数をそろえたり、会話でリズムを感じさせるというか。あと、特に今回は難しいセリフが出てくるので、飽きさせないようにすることを意識しました。
――どことなく昭和っぽい雰囲気もあります。
品川監督 たしかに『マトリと狂犬』は現代の話ですけど、たぶん観た人は昭和感を覚えると思います。回想シーンなんかは特に。
昭和感は、それこそ僕のほかの作品にも共通しているところかもしれませんね。昭和って、たとえば電車の中でタバコを吸っていたり、女性のことを女って言ったりしていましたよね。当然、今の時代のほうが正しいと思いますし、正しい日本になってほしいんですが、“エンタメ”という観点でみると、正しくないもののほうがやっぱり面白いこともある。
政治家が汚職していて、ヤクザが街を歩いていて、コンビニの前にはヤンキーがいる。現実ならイヤですけど、そんな危うい感じのほうが、作品としての面白さはあるんですよね。今回も「昭和になれ」って思って撮っているから、カラコレ(映像の色調補正)のトーンを結構落としていて、プロデューサーから嫌がられたりしました(笑)。
――主演の西畑さんはアイドルグループ、なにわ男子のメンバーでもあります。監督、ご自身のXで「53歳でうちわデビューを果たした」と、なにわ男子のドーム公演に行かれた報告をされていました。新たなエンタメ体験はいかがでしたか。
品川監督 ボーイズグループはわりと好きで、JO1とかBMSGのグループも観に行ったりしています。でも、なにわ男子のようなキラキラしているグループのコンサートは初めてで、すごくプロフェッショナリズムを感じました。ドラマの現場では、すごくストイックに役に入っているし、バラエティのときにはバラエティの顔をしているのだと思いますが、コンサートでの姿を見て、改めてプロフェッショナルだなと。53歳の僕が観ても楽しめるライブでしたね。うちわもね、西畑くんが来たら振っていましたよ。気づいてもらえたかは分かりませんけど(笑)。
<プロフィール>
品川ヒロシ
1972年4月26日生まれ。お笑いコンビ【品川庄司】のボケ担当。お笑い芸人として第一線で活躍する一方で、2008年には自身の自伝的小説を原作とした『ドロップ』で長編映画監督デビューを果たし、興行収入20億円、観客動員150万人を突破する大ヒットを収める。また、2011年には原作・監督・脚本作品第2弾として『漫才ギャング』が公開し、前作に引き続き各所から高い評価を受ける。主な監督作品には『サンブンノイチ』(14)、『Zアイランド』(15)、「異世界居酒屋『のぶ』」(20/WOWOW)、『半径1メートルの君~上を向いて歩こう~「戦湯~SENTO~」』(21)『OUT』(25)など。また、2021年に舞台「池袋ウエストゲートパーク」の演出を手がけるなど、エンタメ業界での活動の場を広げ続けている。
【作品情報】
『マトリと狂犬』
2026年1月20日(火)より
MBS/TBSドラマイズム枠にて毎週火曜深夜放送中
MBS 24:59~/TBS 25:28〜
【原作】田島隆・マサシ『マトリと狂犬 —路地裏の男達—』(秋田書店 ヤングチャンピオンコミックス)
【監督】品川ヒロシ 松下洋平 脚本:服部 隆 品川ヒロシ 脚本監修:田島隆
【出演】西畑大吾 細田善彦 / 森田想 九条ジョー
木村祐一 少路勇介 山谷花純 山下永玖 平埜生成 趙珉和 / 深水元基 本宮泰風
向井 理
制作プロダクション:THE EINS PADMA 制作協力:吉本興業
製作幹事:エイベックス・ピクチャーズ
製作著作:「マトリと狂犬」製作委員会・MBS
配信:TVer、NETFLIXにてTBS放送後に配信スタート(見逃し配信1週間あり)


