少年漫画では数々の“勝負”が描かれるが、その展開は王道から邪道まで多岐にわたる。絶対勝てないだろうと思っていた相手に勝利をおさめたり、予想外の戦法で大きな実力差をひっくり返したり……時にはそうした“まさか”の展開も描かれ、その意外性が読者を惹きつける。
中でも、口八丁手八丁の「ハッタリ」によって大きく状況を変えるシーンには、思わず感心させられてしまう。明らかに格上の相手を前にしながら決して諦めず、度胸と口の巧さを武器に渡り合おうとするキャラはかっこいく、親近感を抱かせる。今回は、そんな読者も驚いた“ハッタリシーン”を紹介したい。
※本記事には各作品の内容を含みます。
■『ジョジョの奇妙な冒険』度胸でピンチを切り抜けた承太郎
荒木飛呂彦氏による『ジョジョの奇妙な冒険』は、純粋な能力によるバトルだけでなく、頭脳戦や心理戦も魅力だ。そういった場面では、時にハッタリも重要な手だてとなってくる。
本作でハッタリを得意とする人物といえば、第2部の主人公ジョセフ・ジョースターが思い浮かぶが、その孫である空条承太郎も負けてはいない。それが描かれたのが、第3部でのギャンブラーの「ダニエル・J・ダービー」とのポーカー勝負だ。
ダービーは勝負の際、絶対に自分が負けないような仕込みを必ずしている。この勝負の時も、ディーラーとして使った子どもが味方で、承太郎にはブタ(役を持たない組み合わせ)、自分には強いカードを配らせていた。
しかし勝負の途中、承太郎は自分の手札を見もせずに勝負宣言。それどころか、“賭け金”として自分の魂以外に、仲間や母親の魂を上乗せし始めた。さらに自分が勝利した時はDIOのスタンドについて話すよう、ダービーに強要する。
なぜか自信満々の承太郎に対し、もし負ければDIOを裏切らなければいけない状況に追い込まれたダービー。きちんと勝つための仕込みをしていたにもかかわらず、すっかり自信を失ってしまう……。
承太郎は顔色を一切変えることなく、ダービーに決断を迫った。対するダービーはコールを宣言しようとするも声が出せず、精神に異常をきたして再起不能状態に。結果として承太郎の勝利となった。
承太郎が「スタープラチナ」を使ってカードの中身を変えたようにも思われたが、そんなことはない。手札は正真正銘ブタのままだったが、ブラフだけでダービーを追い詰めたのだ。ぶっ飛んだハッタリがダービーの思考を鈍らせたが、これほど度胸ある行動は承太郎にしかできないと思った。
■『ONE PIECE』得意のハッタリで強敵を倒したウソップ
尾田栄一郎氏による『ONE PIECE』のウソップといえば、数々の難局をハッタリで乗り越えてきたキャラである。
中でも印象的だったハッタリシーンが、ペローナとの戦いだ。ペローナは「ホロホロの実」の能力者で、ゴーストを駆使して相手をネガティブにさせてしまう。その威力は主人公のモンキー・D・ルフィやロロノア・ゾロたちも戦意喪失するほどで、麦わらの一味は大ピンチに陥った。
そんな中、たった1人だけこの能力が効かなかったのがウソップである。その理由は「おれは元からネガティブだ」というもので、敵も思わず励ましてしまうほどだった。
ただ、実体を持たず物理的な攻撃が通用しないペローナは強敵で、ウソップはあっという間に追い詰められてしまう。しかしその戦いの中で、自分が戦っていたペローナが“幽体離脱”した霊体であり、本体は別の場所にいることを突きとめたウソップは、大胆な策に出る。
ウソップはペローナの本体にゴキブリを大量にぶつけてパニックに陥らせた上で、10トンのハンマーを手に「おれは東の海(イーストブルー)一番の怪力で知られた男」と威嚇。苦手な虫のせいで正常な判断力を失ったペローナは、涙を流して命乞いをし始める。
ウソップはそれを聞き入れずにハンマーを振り下ろすと、ペローナは恐怖のあまり泡を吹いて気絶した。しかし、ハンマーは風船でできたまがい物。ウソップはハッタリだけでペローナに勝利してしまったのだ。
ルフィですら敵わなかった相手をウソップがハッタリだけで勝利したこのシーンには、思わず感動させられた。


