■自分を取り戻していく凪に好感の声も『凪のお暇』
最後は、コナリミサトさんの同名漫画を実写化した2019年放送のドラマ『凪のお暇』(TBS系)を振り返りたい。本作は、空気を読みすぎる主人公・大島凪(黒木華さん)が、人生を立て直していく姿を描いた物語である。
ある日、モラハラ気質な恋人・我聞慎二や同僚たちからぞんざいな扱いを受けていたことに気づいた凪は、過呼吸を起こして倒れてしまう。人生を考え直した彼女はお暇を取ることを決意し、仕事も恋もすべて手放して古いアパート「エレガンスパレス」で新生活を始めた。
そこで出会うのが、恋に奔放でミステリアスな魅力を放つ隣人・安良城欣(ゴン)。さらに慎二が凪を追いかけてきたことで、恋は三角関係へと発展する。
物語中盤には、凪は自分を縛り付けていた毒親と向き合い、自分を優先できるようになっていく。同時に慎二とゴンもそれぞれが成長を遂げ、恋の熱量が最高潮に達した最終回。アパートの取り壊しで住人がそれぞれの道に散る中、凪は改めてウィッシュノートを見て自分と向き合い、ゴンと慎二との関係にも答えを出すのだった。
ゴンは凪に、新居で一緒に暮らそうと愛を告白。しかし凪は、「一緒にいたら幸せだけど今の自分じゃ流されてしまう」と断り、その手を取らなかった。続いて向き合ったのは慎二だ。慎二は凪を水族館デートに誘い、そこで想いを話し合う。
凪は幾度となく支えてくれた慎二に感謝を伝えながら、「今は未来が少し楽しみ」と語る。凪に何がしてあげられるかを考えていた慎二は、自分の足で立ち始めた彼女を見ると「お前はもうしっかり泳いでるよ。俺はお前を卒業してやる」と自ら身を引く。
こうしてどちらとも結ばれず、新たな一歩を踏み出した凪。 慎二とは結婚騒動を機に心の距離が近づいていたこともあって「復縁してほしかった」という声が上がる一方、「いい終わり方」と受け止める視聴者も多かった。確かに、お暇を終了してコインランドリーの夢に向かって進み出した凪の表情は輝いていた。
恋愛ドラマの結末は、必ずしも誰かと結ばれることだけが正解ではない。別れや自立という選択の先で主人公が自分を見つめ直して前へ進む姿は、恋の悩みを抱える多くの視聴者を励まし、ポジティブな気持ちにさせてくれるものであるのだ。


