賛否両論を生んだ「恋愛ドラマ名作」の意外な結末 『東京ラブストーリー』に『愛していると言ってくれ』も…「完璧ハッピーエンド」じゃないからこそ残る余韻の画像
織田裕二 (写真/ふたまん+)

 恋愛ドラマは、多くの作品が最終回でハッピーエンドを迎える。視聴者は第1話から主人公たちの恋の行方を追いかけてきたのだから、幸せなラストを望むのは自然なことだろう。

 だが、恋愛ドラマの中には、前向きな別れや自立といったハッピーエンドとは異なる幕引きを迎えた作品も多々ある。今回は、そんな「ハッピーエンドではないけれど、これはこれでアリ」と思える、意外な結末を迎えた恋愛ドラマを振り返ってみたい。

※本記事は各作品の内容を含みます。

■切ない結末が賛否を集めた?『東京ラブストーリー』

 「月曜21時には街から人が消える」と言われ、平成の世に一大旋風を巻き起こした1991年放送の『東京ラブストーリー』(フジテレビ系)は、若者たちのオシャレで切ない恋を描いた柴門ふみさんの同名漫画をドラマ化した作品だ。

 主人公は、織田裕二さん演じる永尾完治。上京した彼は、高校時代に淡い三角関係だった関口さとみ、三上健一と再会する。そこに、完治に恋する同僚・赤名リカ(鈴木保奈美さん)が加わり、4人の想いが複雑に交錯していく。

 奔放ながらも一途なリカとは対照的に完治はさとみへの想いが消えずに揺れ動き、物語中盤でリカと結ばれるものの、関係は次第に不安定さを増していった。

 別れの予感をはらんで迎えた最終回。二人が選んだのは美しくも悲しい結末だった。

 別れをはっきりと受け入れていないリカは、一人で思い出の土地・愛知に足を運び、追いかけてきた完治と彼の母校で再会を果たす。そしてひと時の時間を過ごした後、彼に抱きつき「16時48分の電車に乗る。それまでに気が変わったら来て」と告げて去った。

 発車ギリギリに駅へ駆けつけた完治を待っていたのは、「バイバイ カンチ」と書かれたハンカチ。彼女はすでに別れを決断し、一本前の電車に乗っていたのである。そしてこの時、車内でリカが泣きながら完治との思い出を振り返るという、胸を打つ名シーンも誕生した。

 その後、リカはロスに渡って音信不通になり、完治はさとみと結婚。その3年後、二人は街中で偶然再会するが、リカは連絡先を求める完治に「また何年後かに偶然再会するほうがいい」と拒否し、笑顔で去っていくのだった。

 今ほど簡単に人と繋がることができない時代の「もう会えないかもしれない」という切なさが、最終回のドラマ性を際立たせている本作。周囲が結婚してリカだけが一人という構図は残るが、「私は私」と前を向く彼女は最後まで美しくたくましい。

■温かい余韻を残すラストに涙…『愛していると言ってくれ』

 続いては、90年代の恋愛ドラマを象徴する名作『愛していると言ってくれ』(TBS系)を振り返りたい。本作は、豊川悦司さん演じる聴覚障害の画家・榊晃次と常盤貴子さん演じる女優の卵・水野紘子の愛の物語だ。

 物語序盤、二人の恋は順風満帆とはいかずに元カノ・島田光や義妹・榊栞によって揺さぶられた。それでも懸命に想い合ってはいたが、ある時、晃次と光の関係を誤解した紘子が、自分に想いを寄せてくれる矢部健一と一夜を共にしてしまう。

 浮気の事実を知っても晃次は彼女を受け入れようとするも、罪悪感に苛まれた紘子は彼と向き合うことができなくなってしまう。そんな悲劇的な展開で迎えた最終回。健一は紘子にプロポーズし、紘子は苦しみながらも彼と歩む決意を固める。

 しかし、栞のアシストで背中を押された晃次は、紘子を追いかけた。駅で紘子を見つけ、「ひろこ!」と声をあげる晃次。それは紘子が初めて聞いた彼の声だった。二人は海の見えるアトリエで想いを確かめ合うも健一のことがよぎる紘子は踏み出せず、別れは避けられないものとなる。

 そして朝の海辺で、タイトルを回収する名シーンが描かれる。晃次が最後のお願いだとひざまずき、「愛していると言ってくれ」と手話で伝えたのである。紘子が何度も言った「愛してる」の言葉は、声は聞こえなくとも晃次の心に届いていた。

 家に戻った紘子に、すべてを悟った健一は別れを告げる。彼もまた紘子を愛しながら、最後は彼女の気持ちを尊重して手放したのだ。

 3年後。女優活動を続ける紘子は、ふと晃次との出会いの場であるリンゴの木を訪れた。リンゴを取ろうとしてよろけた彼女が顔をあげると、そこにはリンゴをもぎ取る晃次の姿が……。

 出会いと同じシチュエーションで再会した二人のその後は視聴者に委ねられているが、成長を遂げた彼らが再び結ばれることを願わずにはいられない。

  1. 1
  2. 2
  3. 3