合言葉「ドンシュー」から生まれる人間ドラマ…異色の脱出シューター『ARC Raiders』はなぜ覇権を握ったのかの画像
『ARC Raiders』メインビジュアル
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 Embark Studiosが手がける脱出型シューター『ARC Raiders(アークレイダース)』(PC、PS5、Xbox Series X|S)の人気がすさまじい。2025年10月30日にリリースされた同作は、発売直後の11月4日にSteamでの全世界売上ランキング1位を記録し、11月11日にはSteamだけで最大同時接続者数「35万4836人」を達成した。

 PlayStation StoreにおけるPS5のダウンロードランキングでは、2025年11月・12月と2か月連続で1位を獲得。さらに世界中のゲームメディアやファンの投票によって選ばれる「ゲームアワード2025(The Game Awards 2025)」では、年末に近い発売にもかかわらず「ベストマルチプレイヤー部門」を受賞している。

 そして発売から2か月以上が経過した2026年1月現在も、Steamだけで40万人以上の同時接続者数を維持。世界規模の覇権ゲームとの呼び声も高い。

 その『ARC Raiders』をプレイして驚いたのは、比較的ストイックなゲーム性で知られる「脱出型シューター」のジャンルでありながら、「撃ち合いが苦手な人でも楽しめる」という、これまでの常識をくつがえす懐の深さである。

■「ドンシュー!」の声が響き渡る不思議な戦場

 『ARC Raiders(アークレイダース)』の舞台は、人類と敵対する機械兵器「ARC(アーク)」に地上が支配され、人々は地下に隠れ住んでいる世界だ。

 そんな危険な地上にまで物資を集めに行く人々が「レイダー(Raider)」である。レイダーはARCを避けたり、戦ったりしながら、地上に残された貴重な物資を収拾して、地下の拠点まで無事に帰還しなければならない。

 本作は「PvPvE(プレイヤーVSプレイヤーVSエネミー)」の三すくみがコンセプトとなっており、敵となるのはARCのようなエネミーだけでなく、時には他のレイダー(プレイヤー)と交戦することになる。

 他のプレイヤーを倒して、その人物が所持していた物資を奪うのは脱出型シューターの醍醐味ではあるが、『ARC Raiders』では少々様相が異なる。

 筆者がゲーム内で初めて見知らぬプレイヤーと遭遇した際、相手がエモート(意思表示のためのアクション)を出してきた。「Don't Shoot!」──それは「撃たないで」という非交戦を意味する意思表示である。

 この「ドンシュー(Don't Shoot)」を多用するのは、『ARC Raiders』のプレイヤー間で自然発生した独自の文化である。先述の通り、他プレイヤーは潜在的な脅威となるが、「ドンシュー」を使えば見知らぬ相手と一時休戦を結び、時には共闘すらできてしまうのだ。

 初心者の頃は、最弱のARCである「ワスプ」や「ホーネット」にもとことん苦戦するが、とりあえず他のプレイヤーに「ドンシュー」と言っておけば、助けてくれることも珍しくない。

 仲良く共闘した末、帰還用の脱出エレベーターに向かうと、そこではさらに別のプレイヤーが「ドンシュー」を連呼しながら待ってくれている……などという平和な光景も見られるのだ。

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