■強敵レッドアリーマーが“壁"から“上達の証"に変わった瞬間
そんな過酷な環境下でトライ・アンド・エラーを繰り返す中、唯一はっきりと自身の成長を感じられたのが強敵「レッドアリーマー」との戦いだ。初遭遇時は、こちらの攻撃を器用にかわしながら自在に飛び回り、執拗に追い詰めてくる嫌な敵にしか見えなかった。
しかし、何度も挑戦するうちに、「ジャンプ→即反転攻撃」という立ち回りが有効だと気づく。この動きが身についてくると、レッドアリーマーを安定して処理できるようになり、「自分は確実にうまくなっている」と実感できた。
『魔界村』を代表する理不尽の象徴のような強敵だが、これを倒せるようになると、自分の成長を実感する“指標"のような存在に変わる。この感覚は、本作の攻略を続けるうえでの大きなモチベーションになった。
そして各ステージを何度も繰り返しながら、少しずつ、それも着実に難所を越えていける手応えを感じ始める。
これまでのボスが総出演する最難関のステージ6を心が折れそうになりながらクリア。ようやくたどり着いた最終ステージは魔王との一騎打ちのみという、一番ぬるいステージだった。
そして、この最終決戦に一発勝負で勝利できたが、画面に表示されたのは「この部屋は幻想だ」という非情なメッセージ。そのままゲームは、何事もなかったかのように最初のステージへと戻される。
この状況が理解できずに心が折れそうだった筆者は、ここで初めて攻略情報を確認。どうやら2周しなければ真のエンディングに到達できない仕様だと知った。
正直にいえば、この瞬間に気力が尽きた。何度も試行を繰り返す中で、奇跡のような立ち回りと運が噛み合ってようやくたどり着いた最終地点だ。あれをもう一度やれといわれるのは、さすがに厳しい。昨今の高難易度アクションゲームと比べても、相当容赦のない要求に感じた。
しかもこの時に知ったのだが、ステージ6をクリアする時に所持武器が「十字架」ではなかった場合、前のステージに戻されるという仕様も隠されていた。筆者はたまたま十字架を所持してクリアしたので事なきを得たが、このワナにハマっていたらラスボスを倒す前に心が折れていた可能性もある。
実際体験してみたかぎり『魔界村』は、何の情報もなしに攻略するにはかなりの根気を要する作品だと分かった。しかしその一方で、レッドアリーマーを倒せるようになった瞬間のように、プレイヤーとして上達を実感できた時に味わえるカタルシスもたしかに存在した。
「Nintendo Switch Online」の「どこでもセーブ」や「巻き戻し」機能を使えば、『魔界村』の理不尽さは大きく緩和されるだろう。それでもなお、当時のプレイヤーが味わった“魔界”の厳しさは十分に伝わるはずだ。40年も前のゲームが「クリアできなかった作品」として、いまだに語り継がれている理由は、嫌というほど体感できた。
ファミコン世代のプレイヤーの中には1周目で心が折れず、2周目にも果敢に挑戦してクリアした猛者がいるのだろう。そのつらさを身をもって知っただけに、完全クリアできた方には心からの称賛を送りたくなった。








