テレビが娯楽の中心であった昭和から平成の時代、当時放送されていたドラマは絶大な人気を誇っていた。学校や仕事から帰宅して一息つく時間に、毎週放送されるドラマを楽しみにしていた人も多いのではないだろうか。
しかし、当時のドラマはバッドエンドで終わる作品も少なくなかった。中には、物語の主要キャストがほぼ全員亡くなってしまうような、信じがたい衝撃的な展開を迎えるドラマも見られたのである。
そこで、ここでは視聴者の予想を裏切るまさかの結末で終わったドラマを紹介したい。
※本記事には各作品の内容を含みます
■全員が殉職する異色の刑事ドラマ『警視庁殺人課』
1981年にテレビ朝日系列で放送された『警視庁殺人課』は、菅原文太さんが主演を務めたハードボイルドな世界観で知られる刑事ドラマだ。
刑事部長役には東映任侠映画のスター・鶴田浩二さん、さらに梅宮辰夫さんといった銀幕スターたちの豪華共演が話題となった。
本作は「殺人課」という架空の特殊部署を舞台に、型破りな荒っぽい捜査で凶悪犯に立ち向かう刑事たちの活躍が描いている。クールなサングラス姿で拳銃を構え、白いポルシェに乗って現場に向かうスタイリッシュな演出も非常にカッコよかった。
しかし、当時は刑事ドラマの全盛期ということもあり、本作はわずか半年で放送終了となる。その影響もあってか、2週にわたる最終回の「警視庁殺人課 全員殉職!PART2」において、主役の菅原さんをはじめとする殺人課の刑事たちは、バスジャック犯の銃撃によって全員殉職してしまうという衝撃の結末を迎える。
画面の最後には「十月十九日 警視庁殺人課 その任務を全うし 全員殉職す」というシュールな字幕が……。刑事ドラマ史上、これほどまでに救いのない最終回は類を見ないだろう。
■コメディドラマなのにほぼ全員死亡…『竜馬におまかせ!』
ダウンタウンの浜田雅功さんが坂本龍馬を演じ、脚本を三谷幸喜さんが手掛けた1996年の『竜馬におまかせ!』は、斬新な設定とコミカルな掛け合いが魅力のドラマだった。浜田さんの相方である松本人志さんも町娘役などで随所に登場するなど、コメディ作品として楽しめた作品だ。
そんな内容とあって、当然明るい結末を迎えるかと思いきや、最終回は悲劇へと急展開する。
近藤勇(阿南健治さん)は打ち首にされ死亡し、岡田以蔵(反町隆史さん)は捕縛されて処刑、そして饅頭屋の近藤長次郎(北原雅樹さん)は切腹して絶命するという、史実に基づき登場人物たちが次々と命を落としていく。
そして、主役の竜馬もついに京都で暗殺される。のちに勝海舟(内藤剛志さん)が「みんな死んじまったな」と、寂しげにつぶやくシーンがなんとも切なかった。
ただ、エンドロール後には死んだはずの竜馬がむっくりと起き上がり、血のりがケチャップであったことを明かして「ほんますいません」と謝罪するオチがつく。
このようにラストはコメディとして締めくくられているものの、それでも今までドタバタ劇を繰り広げていた仲間たちが史実通りに死亡していく展開は衝撃的だった。 直前まで笑いに包まれていた画面が一転、次々に訪れる死……。この大きな落差は視聴者の記憶に強烈なインパクトを刻んだのである。


