■栄養不足に悩むのは宇宙人も同じ? 野菜強奪に駆り出された「モットクレロン」

 『ウルトラマンタロウ』には、他にも奇妙な目的で姿を現した怪獣がいた。それが1974年放送の第43話「怪獣を塩漬にしろ!」の回に登場した食いしん坊怪獣「モットクレロン」だ。

 緑のない星に暮らす、正体不明の宇宙人がビタミンCを狙って地球に飛来。その宇宙船はZATによって撃墜されたが、この宇宙船から小さな卵が落ち、父親が青果店を営む武志少年のもとにたどり着く。

 その卵から小さなワニのような怪獣が生まれ、「モットー」と鳴くことから武志少年は「モットクレロン」と名づけて密かに育てた。

 モットクレロンは急速に成長し、野菜を運ぶトラックを襲撃するように。ZATが出動してモットクレロンを攻撃するが、口や鼻から吐く青臭い緑色の液体によって返り討ちにされた。

 そこで武志少年は父親とともに店の野菜を道にばらまき、おびき寄せたモットクレロンを竹槍で攻撃。危うくモットクレロンに飲み込まれかけるが、現れたウルトラマンタロウによって救われた。

 結局、モットクレロンはウルトラマンタロウによって塩漬けにされ、奪った野菜のエネルギーを抜き取られるはめに。これで体がしぼんで小さくなったモットクレロンは、武志少年から渡された野菜を手に、宇宙へと帰っていった。

 危うく野菜(ビタミンC)を奪われかけた地球人からすれば迷惑な話だが、モットクレロンはかなりユニークな怪獣。独特の鳴き声やおなら攻撃など、思わず笑ってしまうこと請け合いの怪獣だった。

■ウルトラマン80が悪役に? 親子喧嘩を地球に持ち込んだ「ザンドリアス」

 最後に紹介するのは1980年放送の『ウルトラマン80』第4話「大空より愛をこめて」に登場しただだっ子怪獣「ザンドリアス」だ。

 あるとき、奇妙な物体が地球へ飛来。怪獣や怪奇事件の対策チームUGMはその存在をキャッチしたが、途中で見失ってしまう。

 一方、UGMの一員でありながら、教師として桜ヶ岡中学校に勤める矢的猛(ウルトラマン80)は、教え子のススムが父親の再婚話で悩んでいることを知る。その矢先に相当な破壊力を持った怪獣が地球に接近。その怪獣の発する音波が、先に落下した物体と同じものであることが判明する。

 実は先に地球に飛来した物体は怪獣ザンドリアスで、あとからやってきたのはその母親であるマザーザンドリアスだった。さらに、UGMの音波解析の結果、2頭の怪獣は親子げんかの真っ最中だということが分かった。

 これを知った矢的はウルトラマン80に変身し、マザーザンドリアスを徹底攻撃。あえて悪役になることでザンドリアスに母親を助けさせ、仲直りするきっかけを作ろうとする。

 この作戦は功を奏し、やられたふりをしたウルトラマン80の姿に満足したザンドリアス親子は仲直りすると地球を去っていった。この親子が地球にやってきたのは、本当に親子げんかだけが原因だったのである。

 ザンドリアスの飛来で町にも大きな被害が出てしまったが、その混乱の中で矢的の教え子のススムとその父親の問題も解決。2つの親子げんかが円満に解決する展開にほっこりさせられたエピソードだった。


 「ウルトラマン」シリーズに登場する怪獣や宇宙人は、必ずしも地球侵略だけが目的ではないのがミソ。中にはほほ笑ましい理由でやってくる怪獣もいるので、そういったエピソードだけあらためて観てみるのも面白い。

  1. 1
  2. 2
  3. 3