■南井十、浦神鹿…謎多き黒幕の「伏線」回収なるか?
『相棒』の魅力の1つは、巨悪と戦う壮大なスケールのエピソードである。その中には「黒幕」的な存在として登場しながらも、いまだ多くの謎に包まれたキャラクターもいる。season24では、こうした宿敵たちの再登場や、未回収の伏線の行方にも注目が集まる。
まず1人目は、右京のスコットランドヤード時代の相棒である南井十(伊武雅刀さん)だ。鋭い観察眼と並外れた頭脳にくわえ、犯罪者の心をも開かせる話術やカリスマ性の持ち主。変わり者の右京とやっていけるだけの度量もある、良き相棒……かに思えた。
しかし、彼には裏の顔があった。“反省しない犯罪者は自らの死で罪をつぐなわせるべき”という歪んだ正義感を持ち、人を巧みに操り殺人事件を起こす凶悪な人物だったのだ。
南井は右京を挑発するかのように事件を起こし、二度も逃げおおせていた。しかし、season18で2週にわたって描かれた「善悪の彼岸」で、ついに右京に追い詰められる。その結末はあまりにも哀しいものとなった。南井は老化によって認知能力が著しく低下しており、正常な判断能力を失っていたのだった。
激高したと思った次の瞬間には、右京に対し「また捜査をやろう、一緒に」などと言い出し、自分が犯人であることすらわからなくなる。そんな状態の南井は身柄を拘束された後、病院を抜け出し、崖から身を投げたようだった。遺体は見つからなかったものの、ついにその犯行に終止符が打たれたのだ。
しかし、season22の第12話「惡の種」にて、右京は事件の裏に南井の影を感じ取る。南井と面識がない薫が戸惑う中、右京は「あまりに非現実的です。僕の思い過ごしであってほしい……」と動揺を見せた。
さらに、ラストで映し出された車いすに乗った男の後ろ姿と、彼を「父さん」と呼ぶ青年の姿も意味深だった。これは南井本人、あるいは彼に関連する新たな人物の登場を示唆する伏線である可能性が高い。
2人目の注目人物は、season23の最終回で登場した浦神鹿(毎熊克哉さん)だ。都知事や首相の決定の裏で暗躍する「フィクサー」とされるが、その実体は謎に包まれている。
浦は権力者が意向を気にするほど絶大な影響力を持ち、内閣情報官である社もその危険性を察知して特命係に警告している。ラストでは小料理屋「こてまり」に姿を現し、右京に「これからたくさん僕と遊んでください」と挑戦的な言葉を投げかけた。一体これからどのような形で関わってくるのか、season24では特命係との激突も期待したい。
あまりにも不穏な形で伏線が張られたこの2人との対決は、ファンからの期待の声も少なくない。いずれの人物も、今後シリーズを揺るがす大事件に発展する可能性を秘めている。
■「薫赴任以前の特命係」が見られる!?
season24の放送開始直前に開催されたファンミーティングでは、脚本家・輿水泰弘さんから驚きの構想が語られた。それは、「亀山薫が赴任する前の右京の部下」に関するエピソードである。「挑戦したいジャンル」という問いへの回答の中、ぽろっとこぼされた言葉だが、ファンの間で大きな注目を集めている。
イベント内では、右京に恨みを抱く元部下が「命を付け狙う」といった具体的な案も飛び出しており、実現の可能性は高いとみられる。「人材の墓場」時代の特命係の知られざる歴史に、ついに光が当てられるかもしれない。
もしこのエピソードが実現すれば、命を狙われる右京を守るために歴代相棒が勢ぞろいする、といった夢のような展開も考えられる。25周年記念にふさわしい、オールスターキャストによる壮大な物語への期待は高まるばかりだ。
新シーズンでも新たなテーマに挑戦し続け、進化を止めない『相棒』ワールド。長年続くシリーズなだけに、再登場を期待されるキャラクターも多い。毎年恒例の「元日スペシャル」も近付いてきており、そこで何か嬉しいサプライズがあるのではという期待の声もみられる。
25周年という節目を迎え、さまざまな新展開が期待される今、これまでの出演キャラクターや伏線をあらためて振り返ってみるのもいいだろう。


