小学校時代の“いじめ”を発端とする連続殺人事件を描く『良いこと悪いこと』(日本テレビ系)。“ノンストップ考察ミステリー”と銘打たれている通り、毎週視聴者の間でさまざまな考察が繰り広げられてきた本作も、いよいよ最終局面に突入しつつある。
6日に放送された第8話では、長らく謎に包まれていた「7人目」の正体がついに判明。しかし、ラストで衝撃の新事実が発覚し、さらに真犯人が予測不能な展開となっている。
第8話の最後に登場した新事実とは、「ドの子」と呼ばれる同級生の女の子の存在だ。だが実は、彼女のことは、これまでも劇中でほのめかされてきたのをご存じだろうか。今回は、そんな重要人物「ドの子」にまつわる伏線を振り返りつつ、事件に関係しそうなその他の描写についてもあわせて整理していく。
※本記事は『良いこと悪いこと』第8話までの内容を含みます。
■過去回でも匂わされていた「ドの子」の存在
第8話ラスト、「キング」こと高木将(間宮祥太朗さん)たちがようやく手に入れた卒業記念DVDを見る中、映像の最後に登場したのが「もう一人のどの子」――「ドの子」こと瀬戸紫苑だった。「私の夢は、ピアニストになることです」と語る彼女の姿に、高木たちは驚きの表情を見せた。もちろん、視聴者の多くが彼らと同じ気持ちだっただろう。
しかし、「ドの子」の存在は一部の視聴者の間で以前から指摘されていた。実際、過去回をあらためて観返してみると、あちこちにヒントが散りばめられていたことがわかる。
中でも特に重要なのが、字幕の中で「どの子」と「ドの子」が使い分けられていた点だ。ドラマ視聴時に「字幕付き」を選ぶことでセリフを文字で読むことができるが、現代パートにおいては、ほとんどのセリフが「どの子」と表記されていた。つまり、この「どの子」は猿橋園子(新木優子さん)のことを指している。
その一方で、「ちょんまげ」こと羽立太輔(森優作さん)のセリフだけは「ドの子」表記となっていた。また、ピアノの工作作品を壊す回想シーンでも、高木のセリフが「今誰がドの子の作品壊せるか中だから」と表記されており、「どの子」と「ドの子」が意図的に使い分けられているのではないかと、このころから考察されていたのだ。
そして第8話でも、「7人目」だと判明した森智也(古舘佑太郎さん)のセリフが、一貫して「ドの子」表記となっており、高木たちと羽立・森の間で、いじめた相手に対する認識の齟齬があったことが浮き彫りになった。
つまり、事件のすべての始まりは、「どの子」ではなく「ドの子」へのいじめだったのだ。
また、毎週内容が少しずつ変わるオープニング映像にも「ドの子」の伏線があった。第1話の時点で「誰かがピアノを弾く姿」が映し出され、この映像は第2話にも登場。第3話では「ピアノの工作作品」が映り、そして前述の通り、第4話でその作品が壊される回想シーンにつながった。それ以降でも、このピアノの作品は何度かオープニングで登場している。
これだけピアノの存在が強調されていたにもかかわらず、これまでに登場したクラスメイトの中にピアノとかかわりが深そうな人物はいない。これらすべてが、まだ見ぬ「ドの子」の存在を物語る伏線だったといえる。
■今後の鍵は「犬」「ピアノ」「カノン」?
第8話で初めて存在が明言された「ドの子=瀬戸紫苑」だが、その正体を探るためのヒントはそれほど多くない。
確実に分かっているのは、ピアノが好きだったこと、卒業時に学校にいなかったこと、そして高木たちからいじめを受けていたということだ。
また、転校生である猿橋園子が彼女の存在を知らなかったことから、6年時にはすでに転校や不登校などで学校にいなかったと考えられ、第8話で森が「殺したのは君たちでしょ?」「君たちが始めたことでしょ?」と意味深な発言をしていることから、紫苑がすでに亡くなっている可能性も浮上する。
「ドの子」にまつわる劇中での情報は現時点ではこの程度だが、紫苑や事件とかかわりがありそうな要素として注目を集めているのが、「犬」だ。
第6話にて、「委員長」こと小林紗季(藤間爽子さん)が“高木が川で犬を助けた話”をしている。オープニング映像にもたびたびそれらしき犬が登場しているのだが、本編ではこれまで詳細が描かれていない。そのため、この犬が紫苑と深くかかわっているのでは? と予想する視聴者も多いのだ。もしかしたら、森が言う“殺した”というのも、この犬のことなのかもしれない。
そしてもちろん、紫苑が好きだった「ピアノ」の存在も忘れてはならない。そう考えたとき、気になるのが、高木の娘・花音がピアノのおもちゃを大事にしている描写だ。そもそも、彼女の名前には「音」が入っており、「カノン」は同じメロディを追いかけっこのように演奏する形式を指す音楽用語でもある。
どう考えてもピアノおよび音楽とのかかわりが暗示されており、これが紫苑と何らかのつながりがあることを示唆していてもおかしくない。
おまけに次回第9話のタイトルは「カノン」で、予告映像のラストでは「パッヘルベルのカノン」が流れていた。クライマックスを迎える物語の中で、花音がキーパーソンとなることは間違いなく、そのため、加えて花音の母、つまり高木の妻である加奈(徳永えりさん)の関与まで考えられるような状況になっている。
予告映像によれば、13日放送の第9話ではついに犯人が判明し、さらに誰かが死亡するという。「ドの子」の正体は誰なのか、彼女が事件とどうかかわってくるのか、恐ろしい連続殺人事件を起こした犯人の真意は何なのか。多くの謎が解き明かされることが期待される。


